フルーツパウンドケーキ

定番中の定番、バターたっぷりのパウンドケーキに洋酒漬けのドライフルーツをこれまたたっぷり入れたフルーツパウンドケーキです。私の作る焼き菓子の中では最上級のケーキです。

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パウンドケーキ=フナ説を説いてみる

焼き菓子は、小麦粉、砂糖、バター、たまごの4つが基本の材料で、それぞれの配合を変えつつ副材料を加えることによっていろんな種類の焼き菓子のレシピになります。

釣りは鮒に始まり鮒に終わるといいますが、この4つの材料をそれぞれ同量(1パウンド)ずつ使って作ることからパウンドケーキと名づけられたこのケーキは、お菓子初心者さんのはじめてのケーキにふさわしい単純さでありながら上手に作るには熟練が必要な、お菓子作りびとにとっての鮒的存在と言えましょう。

今回お見せするレシピですが、子供がタモですくって捕まえられる小鮒(=ホットケーキミックスを使い材料をすべてぞんざいに混ぜて焼けば失敗なしにできるパウンドケーキ)のつもりで取り組んではいけません。相手は沼のぬしさま級のつもりで取りかかってください。

基本の4材料を知れ

この基本材料のうちたまごの割合をガッツリ増やしていくとスポンジケーキやシフォンケーキのようなフカフカで軽いケーキになります。これはたまごの「あわ立てられると空気を抱き込んでフンワリする&加熱されると固形化する」という性質を最大限に生かしたものです。

逆に小麦粉の割合を増やしていくとクッキーやタルトのようなカッチリしたお菓子になっていきます。この線を進行させてさらに小麦粉の分量を多くし、たまご、バター、砂糖の量をドンドン少なくするとしまいには煎餅になってしまうのでイーストやベーキングパウダーなどの膨張剤を使って柔らかくします。パンや中華まんの皮とかですね。

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ドイツの極悪クリスマスケーキ・シュトレンはバター、小麦粉、砂糖をガッツリ使うけど卵の使用量が少ないのでイーストで膨らませて柔らかい質感を出すという、ケーキとしては異色な存在です。

一方で、一定量以上のバターを使うと風味は増すのですが、生地が柔らかくダレてくるので作るのに扱いにくくなり、出来上がったお菓子も日持ちしなくなります。小さくて浅い型で焼くマドレーヌやしぼり出しクッキーなどが代表的です。

砂糖は甘さを加えるのが主目的に使われますが保存性を高くする効果もあります。さらに泡だて生地を安定させたり、イーストを活発にさせたりペクチンを固まらせたりする働きもあるので、ノンカロリー甘味料を使いたいときでも全体の5割くらいは本物の砂糖を使ったほうがいいと思います。

お菓子作りは愛と夢とクリエイティビティでできている・・・と見せかけてその半分は化学反応でできています。小麦粉を練るとグルテンが発生する、あわ立てると膨張する、過熱すると固形化するとかのことに加えて、この材料を増やしたり減らしたり、混ぜたり練ったり寝かしたりするとこうなったりならなかったりする(はずだ)とかいう知識もあればおっかなびっくりすることもなくなりますね!ということをおねえさんぶって書いてみました。

材料:パウンドケーキ型一本分
小麦粉 150g
コーンスターチ 10g
バター 160g
砂糖 140g
たまご 大2個
ベーキングパウダー こさじ2
ラム酒付けドライフルーツ 汁気を切って200g
ラム酒 50cc
砂糖おおさじ2を水おおさじ1で煮溶かしたシロップ

今回私は上記のレシピの二倍の分量でケーキを二本焼いています。

基本的には4つの材料を160gずつ用意するといいのですが、小麦粉の一部をコーンスターチにすると焼き上がりの質感が少し軽くなります。特にアメリカで一般的な小麦粉、オールパーパスフラワーは日本で言う中力粉でグルテンが強いので、いくぶんコーンスターチを使うとグルテンを弱めることにもなります。(アメリカでもケーキフラワーとして薄力粉は売ってますが、特に買い求めることもないかと思います。私はシフォンケーキやスポンジケーキもオールパーパスで作りますがあんまり改善の必要も感じません。)

また、私はシロップとラム酒をまぜたものを焼きあがったケーキにしみこませるので、材料の砂糖を少し減らしています。甘さ控えめがお好きならもう少し減らしてもいいと思いますが、このレシピどおりに作ってもそんな甘すぎることもないです。

やわらかくしたバターによく空気をふくませてその力でフンワリさせるのが本来のレシピですが、私はすこしベーキングパウダーを使います。これで膨らまなくってガッカリという失敗がほぼ確実に防げます。

準備
1)小麦粉、コーンスターチ、ベーキングパウダーをあわせて振るっておきます。

2)ドライフルーツをザルにあげて汁気を切っておきます。

3)バターは冷蔵庫から出して柔らかくしておきます。

4)ケーキ型に分量外のバターを塗って、軽く粉をはたいておきます。

5)たまごを卵白と卵黄に分けておきます。

6) オーブンを170度(華氏340度)に温めます。

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作り方

1)卵白を泡立てます。塩を一つまみ入れ、泡立てながら分量の砂糖の中からおおさじ3杯を3回に分けて加えます。

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私はいつもぞんざいで、目分量でお料理することが多いのですがこのケーキは厳密に計量することをおすすめします。また、バターを室温に戻して充分柔らかくしておく、使うボールは水滴などついていない清潔なものを用意する、粉はあわせてふるっておく、型にバターを塗って粉をはたく、オーブンを予熱する・・・などは地味な準備作業ですが、できあがりにダイレクトなインパクトを与えます。落ち着いて用意を整えてください。

パウンドケーキのレシピでは、全卵をといてあわ立てたバターに少しずつ加えていくことが多いのですが、たまごの量が多いのでどんなに気をつけても分離してきちゃうと思います。たまごは卵黄と卵白に分けて、卵白をあわ立てて使った方が失敗がなく、フンワリしたできあがりになると思います。

卵白は「ピンと角が立つくらい」とよく言いますが、それではまだ水っぽいことがあります。
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「ヘラですくったときにエッジがシャープなくらい」を目安にしっかり泡立ててください。

2)別の大きなボウルに室温に戻して柔らかくしたバターを入れ、あわ立てます。

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これもレシピによっては「ヘラで練れ」とか言うこともあるけど、しっかり空気を含ませたいのでやっぱりあわ立てる気持ちでやったほうがいいかと。この作業は卵白に使った泡だて器をそのまま使ってもオッケです。しかしバターを先に泡立ててしまい、バターまみれの羽根を卵白に使ってしまってはいけません。あわ立ちません。

泡立てながら、残りの砂糖をスプーンで数回に分けて加えます)。

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砂糖が溶けてバターに混ざっていくと、白っぽくフカフカな感じになっていくはずです。

3)砂糖をすべて入れたら卵黄をひとつずつ入れ、その都度よく混ぜます。この作業はいつも子供を助けに砂地獄に飛び込んだ鬼のフドウ(ラオウが唯一恐怖した漢(おとこ))を私に思い出させます。
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ヒャッハーーー!電動ミキサーだーー!

4)卵黄をすべて入れたら、粉類(小麦粉、コーンスターチ、ベーキングパウダーをあわせて振るっておいたもの)、汁気を切っておいたフルーツ、卵白のみっつを交互に混ぜていきます。
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まずスプーンで粉をさらさらと振りいれ、ゴムベラでザックリまぜたら卵白をヘラでひとすくい → 軽くサックリとまぜたところで粉をスプーンでふたつほど振りいれる → 粉の上にフルーツをふりかけ、粉をまぶしながら混ぜる感じで大きくヘラを動かす → 卵白 → 粉の上にフルーツ→。。。を繰り返してすべて混ぜます。
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この手順でやったほうが、粉、卵白、ドライフルーツのそれぞれをいっぺんに混ぜていくより失敗がないと思います。ドライフルーツは表面を乾いた粉にまぶした状態でないと焼いている間に生地の底面に沈んできてしまうのですが、分量外の小麦粉を使いたくないのでこんなかんじでやっています。練らずにザックリと、ヘラを縦に使って切るように混ぜてください。

5) バターを塗り、粉をはたいておいたパウンド型に入れます。生地はけっこう硬いので、流し込むというよりはヘラですくってボトンと入れていく感じになると思います。
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生地を入れた型の底を、台に落とすように2、3回打ち付けて空気抜きをします。地味な作業ですがうまく膨らんだ焼き上がりになるために大事だったりします。
生地の表面をヘラでたいらにならして、縦に一本線を入れたらいよいよオーブンに入れちゃいましょう。

6)160-170度のオーブンで30分から40分ほど焼きます。オーブンのクセとかもあるので、ふくらみが足りないのにもう表面だけ焼色が濃くなってきた・・・とかいうことが起こっていないか途中でチェックしてください。

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15分後くらいでチェックしたところです。問題ないみたい・・とか思ったけどちょっと温度低かったです。前回表面に焼き色が濃く付きすぎてしまった記憶があったのでビクついていました。もし15分たったところですでに狐色だったりしたら温度を低くするか、表面にアルミホイルをのせてあげてください。

7)焼いてる間に砂糖おおさじ2、水おおさじ1を強めの弱火にかけて、フツフツととろみが出て大きな泡が見えるようになるまで煮つめてシロップを作ります。よそ見してるとカラメルになっちゃうから気をつけて。
これにラム酒50ccを加えて混ぜておきます。アルコールが残るのがいやなら、最後にラム酒を入れてからも少し火にかけてアルコールを飛ばします。

8)さてケーキのほうは箸(竹串とか金串とかならもっといいけど)を刺してみて、生の生地が付いてこなかったら焼きあがり。

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・・・なんだよ、パカっと割れ目ができるほど膨らんでないじゃん(誰に文句言ってんの?)。

8)熱いうちに型から出して、シロップとラム酒を混ぜたものを刷毛で軽くたたきつけるようにしみこませていきます。私は実はシロップのかわりにコアントロー、グランマニエ、トリプルセックなどのオレンジ系の甘みのあるリキュールを使います。理由は砂糖を煮たりするのが面倒だから&酒好きだから。

9)分量外のラム酒に浸して軽く絞ったキッチンペーパー(もしくは清潔なチーズクロスやガーゼ)で包み、ふわりとラップをかけて冷まします。完全に冷めたらラップでピッタリと包みます。

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10)これを冷蔵庫に入れて2日ほど、できれば4、5日ほど寝かせます。2日くらいごとにラップをあけてラム酒を刷毛で塗り、キッチンペーパーに湿りを与えてあげるとさらにラム酒の風味アップです。
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自分で言うのもアレですが、このケーキはうまく焼きあがると至福のおいしさ!どなたへのプレゼントやお土産にしても恥ずかしくない上品で立派なケーキです。シットリしていてラム酒とバターの風味が豊かなのに、ジットリベッタリしたバターケーキ特有の重苦しさがなく、ヘタにカロリーや脂質を抑えり、バターの代わりにオイルを使ったり、ホットケーキミックスと牛乳や豆乳を混ぜて作ったりした簡単アレンジパウンドケーキ群にはない本物の品格と貫禄のおいしさが食べる人を圧倒するでしょう。

日持ちもするしおいしいので、焼き菓子スキさんはぜひ挑戦してください。

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フルーツパウンドケーキ」への14件のフィードバック

  1. ゆうさん

    素晴らしいパウンドケーキのレシピ
    丁寧でうれしいです
    ありがとうございます
    すごくおいしそうです

  2. ピンバック: 白黒チョコチップクッキー | お料理ダイスキ!ニューヨークおうちごはん

  3. yuさん、はじめまして。
    いまパウンドケーキを作ってます♪うちのオーブンは普通のよりも温度が低いようで、60分たっても真ん中が柔らかいです。温度を上げるのと時間を長めにするのではどっちが美味しくできるのでしょうか?

    • はじめまして、コメントありがとうございます。
      焼くのに時間がかかる場合、温度を上げずに長く焼いたほうがいいように思います。
      火を強めた結果、中まで焼ける前に表面だけ焦げたりすると最悪にガッカリしますよね。
      どんなオーブンをお使いかわかりませんが、日本で主流のオーブンレンジだと下火がなかったり弱かったりする物が多く、こちらの大きなガスオーブンと火の回り方が違うことも多いようです。
      特にパウンドケーキのように高さ・厚みのあるケーキだと時間がかかるかも知れません。レシピの焼き時間は目安くらいに思って、様子を見ながら焼いてください。

      • yuさん、コメントありがとうございます(*^_^*) そうなんです!うちのはオーブンレンジなんで下火がなくて なかなか火が通らないようです。温度高め倍くらいの時間でやっと完成しました。次回は小さい型2つに分けてもいいなぁと思いました。美味しかったので また挑戦します♪
        どうもありがとうございました。

  4. Yuさん、はじめまして‼ 美味しそうなブログ、とっても楽しく拝見しています:)
    それで、質問なんですが、卵大って、60gですよね?アメリカのはもう少し大きいのでしょうか。
    ブログにも記載の通り、基本のパウンドケーキの配合は 卵・小麦・バター・砂糖が同量ですが、卵大=60gだとすると120gでしょう? 
    卵の分量が変わると出来が変わるものだから知りたくて・・・・お忙しいと思いつつもコメントしちゃいました!

    • そう!実はそうなんですよ!
      アメリカでもLサイズの卵はだいたい60gなんですが、3個使うと別立てしてもやっぱり分離するんで2個だけ使っていました。
      3個の卵を溶いて160g計るのがベストなんですが、そこまで書くと読んだ人のやる気もそがれてしまうかと思いまして。いつかツッコミがくるかな~とは思っていました。
      この分量だと私の持っている焼き型にピッタリだったのですが、卵3個使って他材料を180gずつ使ったレシピを今度試して再アップします。
      こんなアホブログを注意深く読んでいただいてありがとうございます!!

      • michelle

        なるほど! バターケーキだったら、スポンジケーキとは違って多少ふわふわではなくてもがっしりして美味しいしなどと思って、雑な私は卵3つ量~で混ぜにくいとハンドミキサーで無理やり混ぜてます・・・・。
        私、BPのにおいが苦手で大体不使用なので、卵を減らしたことがなくて。それで、疑問に思いながらも何も聞かずに作ってみるよりも思い切って訊いてみようと思いました。

        実は、私たち夫婦2人(子なし・私39歳になります)は韓国の地方都市に2年半暮らしていて、夫の職住至近なことと、主にPC作業・家の生活が好きな人なのと私も料理好きで、一日2食とおやつを日々せっせと作っています。かなりの時間、美味しく作るために調べたりの準備・料理・その後片付けに費やしていますが、Yuさんのようにブラウンルーやビスクまで煮ていませんから「おおっ!すっごい」と思いながら拝見しています;) そうそう『ロブスターを食べた後に殻を捨ててしまうのがもったいなすぎて他人の所業でも難詰してしまいたくなるレベル』というところでは(爆)でしたー!!!!わたしもそう思います!あれを捨てるなんて[罪]です。

        Yuさんのブログ、一生懸命美味しく食べようとせっせとがんばっているひとがいるんだなあと思うと、私も頑張ろうと思って勇気づけられます。長くなってしまいました!失礼します:)

      • ご丁寧に返信ありがとうございます。
        韓国は食事がおいしいですよね!友達がいるので訪韓したことがありますが、なにを食べてもおいしかった記憶があります。屋台でトッポギとマッコリとか楽しかったな。
        またいらしてください~。

  5. 母親がパウンドケーキ好きで
    いろんなレシピを検索していたところ
    こちらへたどり着きました
    このレシピで二回ほど焼いてみたのですが
    二回とも側面がボソボソとなってしまって。。
    お写真のようなきれいな形にならないのです
    しっとりさせるためにキッチンペーパーで何日か、とありますが
    その行程はせず二回とも作ったのですが
    それがいけなかったのでしょうか
    型からはずすとボソボソになっていますか?
    画像をつけたかったのですが添付の仕方がわからずで
    コメントさせてもらいました
    お時間あるときでかまいませんのでお返事いただけると嬉しいです

    • お返事が遅れてすみません。
      側面のぼそぼそは、おそらく焼き型からのはがれが悪いのではないかと思います。
      型にバターを塗って粉をはたいておいてもぼそぼそする場合、ワックスペーパーやパーチメントペーパーを型に敷いてみるといいかもしれません。お試しください。

  6. とっても素敵なレシピをどうもありがとうございました(≧∇≦*)♪

    父がパウンドケーキ大好きなので、美味しいレシピを探していました!!
    とっても美味しくてお店の味みたいでした!家族みんな喜んでくれました☆

    作っている時のラム酒の香り☆たまらなくよいですね(*’▽’*)

    お料理が大好きで、同じようにお料理大好きな方いないかな~と「料理 大好き ブログ」で検索したところ、とびきり素敵なブログを発見できました!どうもありがとうございます☆

    他のレシピも拝見させて頂きます!!

    素敵なレシピに出会うとますますお料理楽しくなっちゃいます♪ヾ(≧∇≦)

    これからもブログ楽しみにしています!

    • 承認遅れてスミマセン、コメント&レシピお試しありがとうございます。とても励みになります。

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