サルモネラについて

しょうゆをたらした卵かけご飯、おいしい油で丁寧に手作りしたマヨネーズ、マグロの刺身にごま油と卵黄を混ぜたマグロユッケ、ハヤシライスにぽとんと落とした卵を崩してご飯に絡めて・・・・みんな大好物!それなのにアメリカでは生卵は食べちゃだめってよく言われますよね。実際のところどんなもんなのか調べてみました。

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サルモネラ細菌は種類がたくさんあり複雑で、専門的な情報を読んでも私がちゃんと理解できているかあやしげな感じですが、ご参考程度にお読みください。誤りなどありましたらご指摘ください。

卵生食の危険性・サルモネラってなーに?
ノロウイルス、カンピロバクターと並び食中毒原因御三家のひとつとして確固たる地位を確立しているサルモネラは、口から摂取することで人に感染します。発症すると摂取後8-24時間で下痢、腹痛、発熱などの症状を表しますが一般に経過は短く1,2日で回復し、サルモネラで死亡するケースは子供や年寄りがほとんどで致命率は1%以下だそうです。

フーン。。。なんかアニサキスのことを調べたときによく見た「目もくらむような激しい腹痛」とか「数時間にわたる激痛」とかという恐怖フレーズと比較するとインパクト不足な気味がありますね(←アホ)。

実際、サルモネラは病原性も比較的弱い細菌で、感染しても食中毒が発症することはまれであるとのことです。まれといってもサルモネラの存在が広範囲にわたっているので症例は多く、サルモネラ細菌群は牛・豚・羊・馬などの家畜や自然界の多くの動物、また犬や猫、イグアナや亀なんかのペット動物にも広く保菌されていています。健康な人間だとサルモネラが常在菌になることはまれですが、検便検査でサルモネラ出ちゃったよという健康保菌者もいるそうです。豚・鶏なら10%~30%、犬や猫は3%~10%、カメなら50%~90%も感染しているというデータもありました。

たまごとサルモネラ

鶏卵のサルモネラ汚染経路には1)卵の殻の表面に鶏の糞などが付着するもの、2)産卵前に腸管から卵殻内に侵入するもの、のふたつのケースがあって、1)の場合は汚れを水で洗浄すれば除去できるものだそうな。衛生管理についてはアメリカもかなり厳格で、もちろんすべての卵は出荷前に洗浄されているので少なくとも殻表面の汚染はあんまり心配しなくてもよさそうです。2)の場合はどうにも除去することはできませんが卵内に侵入したサルモネラの細菌数はせいぜい数個から数十個の範疇だそうです。

食中毒症状が現れるのは大量に増殖したサルモネラ細菌を摂取したときで、個人差はありますが健康な成人ならおおむね100万個以上の摂取と考えられているそうです。そしてサルモネラ菌が100万個も口に入るような状態は、食品中に存在する少量のサルモネラが食品保管や調理の不備のために急速に増殖した場合ということになりますね。

現在、サルモネラ菌数が20個以下だと検査に合格して商品として流通されます。これに対して「サルモネラ菌がゼロじゃないのに合格とかプギャー」とかいう声が聞かれますが、私には人に影響を与えないレベルの卵を廃棄してしまうことの方が理不尽のように思いますがどうでしょう。

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たまご、アメリカと日本
アメリカでは生で食べちゃいけないといわれているのに、なんで日本の卵は大丈夫なのかが知りたくネットで調べてみたところ、日本では鶏がサルモネラに感染しないように抗生物質を餌に混ぜたり、サルモネラワクチンを鶏に接種させたりしているようです。

家畜への抗生物質の使用は不自然に成長を促したり耐性菌発生の危険もあるため、最低限にとどめておくのが望ましいことを考えると、諸刃の剣という感もあります。アメリカは食習慣として卵の生食が浸透していないので、卵を生食しても安全なレベルになるほどには抗生物質を使ったり、ワクチンを使用したりはしていないということでしょうか。

2002年の資料ですが、アメリカでは年間におよそ69億個の卵を生産していて、その中でサルモネラ感染しているものは230万個と考えられているそうです。確立で言うと0.03%、およそ4000個に1個の割合です。

そして上記したように卵内に侵入しているサルモネラ菌も冷蔵庫程度の低温で管理しておけば健康な成人が中毒症状を起こすほど増殖することもまずないはずなのに、アメリカでは年間に140万人とも言われる人がサルモネラ食中毒を発症しています。

なぜかと言うと、サルモネラは8度以下の低温で増殖は抑えられますがそれ以上の温度になると活発に繁殖しだし、15度から40度(まさに室温から半熟程度の温度)で激しく増殖します。そして殺菌するには60度程度の温度でなら5-10分、もしくは100度以上に数秒間加熱しなければ死滅しません。卵の凝固点はそれぞれ卵黄で65-70度、卵白は75-78度で固まることを考えると、黄身が半熟状態の卵を安全にするには60-65度というタイトな範囲で温度をキープし10分程度の加熱をしてあることが必要ということになります。その辺のレストランとかでは絶対やってないよこんなの。

というかむしろブランチのエッグベネディクトとかによくありますが、トロトロの半熟ポーチドエッグをたくさん作ってぬるいお湯で保温しておくとか、冷蔵庫に入れずキッチンに出しっぱなしにしておいた卵で半熟の目玉焼きをつくるとか、サルモネラちゃんたちがキャッキャキャッキャおおはしゃぎの状態です。アメリカでは卵を使った製品やレストランなど飲食店で出す食品に生の卵を使うことは禁止されていますがいくら生食を禁止してもそれじゃ当たる人もいるわと納得ですね。

で結局アメリカで生卵は食べていいの?
加熱してあるとは言っても半熟程度ではサルモネラを死滅させるには充分でなく、危険性で言えば生食と同じ、もしくはむしろ活発に増殖させてしまっているってことがわかってしまいました。半熟を平気で食べるくらいなら生卵にウダウダ言うなよと結論してしまいたくなりますね。

しかし一方で、アメリカでも卵は洗浄されており殻表面の汚染はまず心配しなくてもよいこと、卵内に侵入している菌も新鮮な卵を冷蔵庫程度の低温で管理していれば健康な成人が食中毒を起こすほどに増殖することはまずないということでもあるようです。

子供、年寄り、妊婦、病人はもちろん体調が悪かったら食べないなどの注意はもちろん必要ですが、新鮮な卵を買い、常に冷蔵庫に入れておき、冷蔵庫から出したらすぐに食べるなどの管理をきちんとしていればアメリカでもまず大丈夫なんじゃないかしら・・・?という印象です。
私はスーパーで売っている普通のオーガニックの卵を生で食べていますが今のところなんともありません。ご参考程度に聞き流してあとは自己判断&自己責任でお願いします。

やっぱり心配・・・・という方には、割高にはなりますが殺菌卵(pasteurized egg)を使うのが安心かと思います。低温加熱で殺菌してあるそうです。
Davidson’s Safest Choice

また、卵に酸(レモン汁か酢)を加えて凝固点を上げ、固形化させずにレンジで加熱して殺菌すると言う方法があるそうです。マヨネーズやシーザードレッシングを作るならこの方法も有効かも。

参考資料

USDA Salmonella Questions and Answers

USDA Egg Products Preparation, Shell Eggs from Farm to Table

USDA Egg Products and Food Safety

神奈川県保健福祉局生活衛生部食品衛生課、卵とサルモネラ食中毒

横浜市衛生研究所サルモネラ感染症(食中毒)について

An Overview of the Salmonella enteritidis risk assessment for shell eggs and egg products, by US National Library of Medicine National Institute of Health

卵によるサルモネラ食中毒の発生防止について、食品衛生調査会

サルモネラ菌の詳細

みずほ台動物病院、動物由来感染症

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