白菜キムチ

もう何年も前から作ってはいたんだけどどうにも満足した出来になったことのないニクイやつ・・・!。韓国料理の必須すぎる一品、白菜キムチにガップリとりくみます!

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去年ネッチリと調べこんで作ってみたキムチ、自分で食べてまあまあおいしいと満足してたら、味見したコリアンのお友達から「日本人がレシピ本とか読んで一生懸命作った感じ。頑張りました感がハンパない」と、まさかのダメ出し。心が折れかけましたが気を取り直していきます。

以下は昨年に旧ブログに掲載した記事の内容を若干書き直したものです。私のけして長くない経験と、ネット、本、コリアンのお友達などを情報源に拾い集めた情報を基にしています。けっこうマジメに調べましたが誤情報などもあるかもしれません。そんなときにはコメ欄にツッこんでください。

キムチってそもそもなんなの?
キムチは白菜に限らずさまざまな野菜で作られる漬物なのですが、たいていは軽く塩漬けにしたメイン材料にヤンニョムといわれる唐辛子を多く含んだあわせ調味料とでもいうようなものをはさんだり揉みこんだりして作ります。辛さと塩味に加え、乳酸発酵によるうまみと酸味が特徴で、各家庭や地域によってさまざまなレシピがあります。

まずはおおざっぱに一般的な白菜キムチの作り方をおさらいしつつ考察してみましょう。

1)白菜は茎を切り離さずに適当な大きさに縦に割って、下漬けする。
下漬けは塩のみ使用する方法と、塩水につける方法があります。また使用する塩の量もさまざまで、軽めの塩で下漬けした後そのまま本漬けする方法と、シッカリ塩を使った後に塩抜きする方法とがあります。

私はどちらも数回試し、コリアンのお友達にも何度が一緒に作ってもらった結果、たて割りにした白菜にガッツリ振り塩をして半日置き → 十分水気を出してから水で洗って塩抜き → しっかり絞ったものを本漬けする ・・・という方法が一番間違いなくできるみたいです。

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茎を下にしてタテにしておくといいらしい。

2)下漬け後、必要なら塩抜きしてから白菜の水気を絞る。
塩は葉のあいだにもタップリ目に振って、5-6時間もしくは一晩おいてしんなりさせてから水で塩を洗い流すのですが、ここで葉を噛んでみて葉の甘さよりも塩味の方が強いようなら水につけておいて軽く塩抜きします。

その後、手でギュッと絞って水気を切ります。清潔なフキンで包んで絞ると作業がラクです。水分が多いと発酵がうまくいかなかったりするのでここで白菜をキッチリ水切りしておくことが実はとっても大切だそうです。

3)ヤンニョムを作る。
ヤンニョムの材料はざっと分けると香辛料、タンパク系材料、薬味、炭水化物系材料、その他があります。キムチの香辛料はもちろん唐辛子、にんにく、しょうがの三種がメインで、これらがキムチ独特の辛さ・香り・鮮やかな赤い色になります。

薬味には細切りにしたネギ、大根、にんじん、ニラ、ゴマなどが一般的ですが、これもどれをどのくらい使うかはレシピによってさまざまです。

ヤンニョムにはノリと呼ばれる炭水化物系の材料を入れるレシピが多くがあります。米のおかゆや、白玉粉(もち米の粉)、小麦粉を水で煮たものなどですね。ヤンニョムにとろみを加え発色を良くし、さらにこれが糖分に分解されて乳酸発酵を促進させるといいますが、不要だというレシピも多いです。けっこう調べてみましたが、コリアン系お料理研究家の先生のレシピではノリ、もしくは砂糖(炭水化物が分解されるのを待つのでなく直接糖分を入れる)を使っているレシピが多かったので私もお粥を使うことにしています。また、果物(りんご、梨など)を使うこともあるようです。これはマイルドさと果糖を追加する意味合いでしょう。

だし汁、アミやイカなど魚介の塩辛、魚醤などは自身うまみ成分を多く持っているのですが、たんぱく質がアミノ酸に分解されてさらにうまみとなります。ちゃんとおいしくできるかビクビクしてるとついこの辺の材料を多く使ってしまいますが、たんぱく質は乳酸菌の餌にもなるので発酵がすすみすぎ、スッパくなりすぎる原因にもなるそうな。ままならないものですね。

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さらに生のホタテやエビ、カキなどを入れるレシピもあります。これは非常においしそうに聞こえるし実際うまくできると非常においしいのですが、ちょっと発酵のバランスがくずれてしまうとけっこう重大な事態をひきおこしてしまう悪魔的上級アイテム。。。発酵と腐敗、人間に都合がいいかどうかで呼び方を変えているだけで、実は微生物が作用しているという同じ事象ですもんね。

キムチを例で言うと、うまいこと乳酸菌が増えてくれると発酵ですが、乳酸菌が活発になる環境がそろわなくて他の好ましくない微生物が増えちゃうと腐敗、と。そして生の魚介類を好む微生物にはサルモネラや腸炎ビブリオなど深刻な食中毒の原因となるヤツらがいます。

頑張って作ったキムチ、ちょっとヘンなニオイがするみたいだけどきっと気のせい・・・と捨てる勇気を持てずに食中毒を引き起こしてしまうのが最悪の負け戦です。熟練した技術と信頼できる管理能力を自負できるレベルに達するまでは生の甘エビやカキなどには手をつけないことをおススメしたいです。

4)白菜にヤンニョムをはさみ、本漬けする。
ヤンニョムを挟んですぐの若いキムチをゆで豚と一緒に食べるのもおいしいものですが、やはり適当な時間を置いてうまいこと発酵しうまみと酸味が出てからが食べごろです。

どのくらいの期間漬けておくかが思案のしどころですが、作ったその日は寒めの室温においておき、その次の日からは冷蔵庫に入れるというのが一般的なようです。温度に加えて上記したようにたんぱく質系材料が多いと発酵が早いなどヤンニョムの材料にも左右されます。

また、乳酸菌は嫌気性なので、うまく乳酸発酵させるためにはきっちりと密閉できる容器を使うのが大事だとか。普通のガラス瓶がベストかな。

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アメリカ人、フランス人、ロシア人、コロンビア人なんかの友達も珍しがって集まってきました。かつてピッツバーグに住んでいたときには韓国レストランとかでもめったに非アジア人は見なかったものですが、NYはわりと外国の食べ物に興味をもつ人が多くて楽しいですね。

前置きが長くなりましたがいよいよ作りますよー!!

作りやすい材料
白菜 ひと玉(2kgくらいのもの)
大根 100g
ネギ 50g
冷やご飯 100g
いりこのダシ汁 150cc
韓国唐辛子 あら挽き おおさじ5、細挽き おおさじ4
りんご 1個
にんにく 4-5かけ
おろししょうが おおさじ2-3
アミの塩辛 おおさじ2
魚醤 おおさじ3 
砂糖、コーンシロップ、はちみつなど 適量

以上は一応今回私が作ったときの材料ですが、あくまでご参考までにご覧ください。とくに私は薬味少な目がすきなのでこんな感じですが、大根、ネギに加えてにんじんやニラ、ごまなどもお好きなら加えてください。

下漬け(本漬け前日の作業)

1)まずは白菜ひと玉を半分に切って、それをさらに4つに切り分けます。下半分だけ包丁を入れて、上半分(葉の部分)は手で割るようにすると葉がバラバラ落ちずいい感じです。
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この白菜を半日くらい風通しのいいところで日に当てておくと、ちょうどよく水分が飛んで甘みが増します。時間があったらぜひどうぞ。

2)白菜に多目に塩を振ります。重量の何%とかは気にしない。後で洗い流しちゃうから適当でオッケです。茎の方に多目に、葉と葉の間にも充分振ってください。このまま半日ほどおくので、この作業は朝にやっておいて夕方に本漬けするか、夜にやって一晩置いちゃうのが効率的でしょう。

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余談ですが私の地元では意地の悪い女が作る料理はショッパくできるとか言い、先年死んだ私の祖母などは「サキさんなら刻んだ菜っ葉を手でかましてるだけで漬物ができる」とまで言われたものです。塩要らずのサキの孫が白菜ごときに塩がきかないなどというのはなんだか恥ずかしいですね。さらなる余談ですが、私がドテラと結婚した後にサキさんから口が曲がるほどショッパい塩引き(ショッパすぎて猫も食わずにまたいで通ることから猫またぎと呼ばれる)をまるまる一尾もらったことがあるけど、あれはお茶漬けとかにするとすんごくおいしいんだよなー。甘塩鮭とかならなんぼでも作れるけどあれだけ強塩で寒熟させた塩引きは海外ではまず手に入らないわ。。。(シャンシャンシャン・・・・)(追憶の鈴)

3)さて追憶から戻ってきたら白菜の様子をみてみましょう。ちょっとかんでみて、塩気よりも白菜の甘さを強く感じるくらいならベストです。もしショッパかったら真水に浸して軽く塩抜きしてください。

白菜を手でギュッと絞って、できるだけきっちりと水分を除きます。たぶんフツーの日本人女子の握力なら不十分なので、清潔なフキンで白菜を包んで白菜から絞る水をフキンで吸わせるようにしつつギュッと搾るのがいいでしょう。フキンがグッショリしてきたら雑巾のように絞って水気を落として再度使います。ここでの水切りが甘いと水が上がったバシャバシャのキムチになってしまうし、しかも発酵がうまくいきにくく腐敗も早くなるそうです。

ヤンニョム作るよ!

4)冷ご飯100g(子供の茶碗に軽く一膳くらい)を鍋に入れ、濃く作った煮干のダシ汁150ccを加え、弱火でことこととおかゆにします。

5)大根を千切りにして塩水に放します。

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この塩水も5%くらいの濃さ。でも漬けておくのは30分くらいで充分。シンナリしたらギュッと手で絞っておきます。にんじんを使うときもおなじ手順で準備します。

6)ネギを細切りにしてー・・
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しょうがをおろし、にんにくは皮をむきます。

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私のキムチはコリアンのお友達に言わせるとにんにくとしょうがと魚醤が足りないらしい。キムチは本来臭いものですがあんま強すぎると日本人の家庭では使いにくいかと思って、この辺は控えめに書いています。好みで加減してください。

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魚醤はナンプラーでもニョクマムでも、日本のしょっつるとかでもなんでもいいらしい。油漬けじゃなく塩漬けのアンチョビとか使う地域もあるそうな。

7)フードプロセッサかブレンダーに4)のお粥、6)のしょうがとにんにく、アミの塩辛、魚醤、さらに皮をむいて芯を取ったりんごを入れてプロセスにかけます。

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この写真ではお粥さんがちょっと固めだけど、もっと柔らかくドロドロしててもいいくらいです。

8)ドロリとしたところをボウルに移して、5)の大根、6)のネギを混ぜます。

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9)さらに唐辛子を混ぜます。上記に今回私が使った分量を書いてはありますが、辛さの好みもありますので増減してください。韓国唐辛子は日本のものより色が鮮やかで辛さが弱いですので、日本の一味唐辛子なんかを使うならずっと減量したほうがいいでしょう。

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すべて混ぜたらちょっと味見をしてみます。熟れてないし、キムチのヤンニョムだけ味見してもできあがりがどうなるかとか想像しにくいけど辛さとショッパさとうまみと、チョッピリの甘みがあるようならマアマアいけてます。

りんごやお粥の甘みが全然感じられない・・・という場合は砂糖をチョッピリ加えるのもアリです。これは味付けというよりは乳酸発酵を促進させるためです。

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いよいよ本漬けしまーす!

10)シッカリ水気を切っておいた白菜の葉の一枚一枚の間に9)で作ったヤンニョムを挟んでいきます。唐辛子で手がヒリヒリするので肌が弱い人はゴム手とかした方がいいと思います。しばらく手がうす赤くなってキムチくさくなるのに頓着しなければ素手でGO。主に根元の方にヤンニョムをネットリと置いていくとちょうどよく全体に伸びます。

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白菜をギュッと半分に折るように曲げて容器に詰めていきます。プラスティックだとニオイが付くのでガラス製品を使うか、ビニール袋を内側に使うといいでしょう。

半日くらい室温に置いてから冷蔵庫に入れます。雪の深い地域なら雪に突っ込んじゃうのがベストかと。ほんとに朝鮮半島でトラディショナルな方法で作るときには真冬の地面に穴を掘ってキムチ壺を埋めるとやら言いますし、最低でも冷蔵庫レベルの低温で熟成させることが必要かと。あるコリアン系お料理研究家さんはキムチの熟成は低温なら低温であるほどよいとか言っておられます。

作ってすぐでもまあまあおいしく、発酵させればそれまた味が熟れてきてまたおいしい!買えばそこそこの値段ですが、自分で作れば好きなように作れてタップリ食べられるのでお得感がすごい。作るのも楽しいし、何度作っても勉強の余地があるのがまた奥が深くて楽しいです。やってみようかなーという気持ちがあったらぜひどうぞ。

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白菜キムチ」に10件のコメントがあります

  1. ゆうさん
    白菜キムチ
    素晴らしレシピ
    詳しく
    最高です
    おいしそう
    できあがりが楽しみですね

    1. この週末に韓国人のお友達に再度教えてもらって来て、記事を書き直して掲載してみました。やっぱりお友達の作ったのは安定しておいしいです。

  2. すごく美味しそう!
    いつか手づくりしてみたいと思うけど 家族の反対にあうだろうなぁ…(キムチのにおいで 何度か 家庭内紛争勃発しました:) 今はひっそり庭で保存してます)

    新しいブログ デザイン素敵です! 遅ればせながら、今年もよろしくですー。

    1. こちらこそ今年もよろしくです~。
      キムチはキチッとフタに締まる瓶に入れておけばそんな匂いも気にならないと思うけどなー。コーヒーの出し殻を冷蔵庫に入れておくといいですよ。

  3. Yuさんこんにちは!新しいブログのデザインすごく見やすいですよ~!
    やっと寒さが本格化したので、でっかい白菜を農家の友人から、ニンニクとリンゴを青森県の実家から手に入れて、キムチ作りました!ビニール袋に小分けしてただいま発酵待ちです。水気を絞るのが結構大変で、夫にさせました。ステキなレシピありがとうございます。

    1. 明けましておめでとうございます。
      うわーいい材料~。うらやましいです。

  4. 白菜キムチ、数年前に韓国で作り方習ってから、年に数回作ってましたが、今回初めて明らかに腐敗臭が。原因を探ってたらこのHPに出会いました。
    読ませていただき、今回の失敗は①白菜の塩漬けが不十分だった、②ヤンニョムが最初から水分が多かった、③にんにくはチューブを使ったから分量少なかった?  いつもと違ったのはこのくらいでしたが。。

    今度はYuさんのを参考に作ってみたいと思います。白菜の水切りもあまかったのかもしれません。勉強になりました、ありがとうございます。

    1. コメントありがとうございます。
      漬物って同じように作ってても出来が安定しませんよね。案外、気温とか器の洗い具合とかも原因だったりします。

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