セビッチェ・南米のお刺身マリネ

セビッチェ(ceviche)・・・とれとれの生の魚介類をライムやレモンのきいたマリネ液に漬けていただく、ペルーやメキシコなど中南米の沿岸地方各地で人気のこの一品。刺身民族日本人なら無視できない。

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セビッチェってなーに?
セビッチェというのは中南米の湾岸で人気のお料理で、新鮮な魚介類を生のままレモンやライムの絞り汁で和えたり浸したりして、細かく刻んだたまねぎ、チリペッパーやシャンツアイ、トマト、アボカドなどを混ぜた逸品です。

レモンやライムなどのシトラス系ジュースの酸が魚介類のタンパク変性を起こす性質があるので、よく「熱ではなく酸で料理したもの」のような言い方をされますが、ライムやレモンや酢は食中毒を起こす細菌やウイルスの増殖は抑えられてもそれ自体を殲滅させられるほどではないことを、特に実際に中南米を旅行するなら覚えておいたほうがいいでしょう。

魚は白身を使うのが一般的ですが、マスを使うレシピも見つかりました。その他ではエビ、イカ、タコがよく使われますが、これらは一度軽くゆでてあるものを使うことが多いようです。一種類だけで作ることも、多種類の具で作ることもあるようですが、たぶん地域差とかもあるんじゃないかな。

ヒラメのセビッチェ、イカとエビのセビッチェ、そしてマグロのセビッチェの3点をアップします。

基本のマリネ
メイン材料  300gくらい
レモン 1/2個
ライム 1-2個
オレンジ 1/2個
たまねぎ みじん切り、おおさじ2
オレガノ(乾燥) 少々
トマト 1/2個
シレントロー(生) みじん切り、おおさじ3くらい
チリペッパー 少々
塩、こしょう

使うメイン材料により、基本のマリネの材料を少し加減して作ります。

ヒラメのセビッチェ

アストリアの魚屋で「今日は刺身で食べられるヒラメ入ってるよ!」と声をかけられてつい買ってしまったflounderです(flounderってヒラメなのかカレイなのか・・・顔が左側についてたような気がするからたぶんヒラメでいいんじゃないかなあ。。魚屋でおろしてもらったので個体の写真もありません。スミマセン)。

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こちらの魚屋さんではスシで食べるというと、ちゃんと皮をはいで腹のとこの骨をそいできれいに刺身用のフィレに下ろしてくれます。ありがたい。(最近では「エンガワ残しておいたよ!ココも食べるんでしょ?」とドヤ顔します。)
中くらいのフラウンダー一尾とシーバスの骨とっておろした身を3枚(しょうゆに漬けて後で焼いて食べる)買って23ドルとかでした。アメリカでこんな元気な魚この値段で買えるなら安い。

1)まず魚を一口大に切るのですが、三枚卸の魚の場合、真ん中に骨が走っていると思います。骨抜きで抜いてもいいのですが、身がくずれそうなら切り落としてしまった方がいいでしょう。
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骨を取ったら一口大に切ります。今回はエンガワも混ぜて作りますよー。
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やばいこれマジうまい。すごいおいしい魚だ。

何の手も加えていない生の魚なのにまな板から直接つまみ食いが止まらない(結婚してまもなくこんな現場を目撃したドテラは「まさか・・・・今、生の魚を食べてた???」と超ドン引きしたものですが、結婚13年目を迎えた今では「ちょ!!一人でなにおいしいもの食べてるの!ボクも味見するぅーーー!!」としょうゆ注ぎを持って走ってくるほどに飼いならされ異文化受容しました。)。

2)魚にごく軽く塩をふり、ライム1個とレモン1/2個の絞り汁をかけ、みじん切りのたまねぎ、こしょう、オレガノ少々を混ぜます。
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色的にきれい&ハンパに残っていた紫たまねぎを使いましたが、フツーのたまねぎで無問題です。

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軽く混ぜたら冷蔵庫に1-2時間ほど入れておきます。

漬け時間は材料やレシピによってさまざまです。酸で起こるタンパク変性に殺菌作用を期待し、一昼夜漬けるといっているレシピもありますが、先に言及したようにレモンやライム程度の酸では増殖は抑制できても殺菌はできないそうなので食の安全としてはあまり意味ないですね。長く漬けると食感が固くなるし、私は二時間以上は漬けないほうが好きです。食中毒予防としては漬け時間の長短より温度管理(常に冷蔵庫に入れておき低温を保つ)のほうが大事です。

3)時間が経ったら容器を傾けて漬け汁を捨てます。絞ったりする必要はないです。

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魚の身が白くタンパク変性してます。

ネットでけっこういろいろ検索したところ、ここで漬け汁を捨てろを書いてるレシピはほとんど見つからなかったのですが、やっぱり魚からも水がでてるし一度汁きりしたほうがおいしくてきれいな出来上がりになると思います。

4)味見をして酸味が足りないようなら適量のライムの絞り汁を回しかけ、さらにオレンジ1/2個の絞り汁も加えて混ぜます。
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やっぱりスッパイだけでなく少し甘みがあったほうがおいしいと思ってオレンジを使ってみたところ、さわやかさ&風味&甘みが理想どおり!すごいアタシのひらめき(&握力)!

5)種をとって荒くみじん切りにしたトマト、みじん切りのシレントローも混ぜ、軽くチリペッパーを振ります。ざっくりと混ぜ、味見をして塩こしょうで整えたらすぐいただきましょう!
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もうほんと言葉が要らない!レシピと写真見て想像して!ほんとオイシー!!!

イカとエビのセビッチェ
さあ続いて行きますよ!

イカ市民ハコダテンヌはもちろん刺身が大好きですが、NYで手に入るイカは函館で主流のスルメイカではないし、そもそも刺身レベルのイカはめったに手に入らないのですが、それでもアストリアの魚屋ではたまにピッチピチの元気な朝獲れイカが入ったりします。見つけたら即買い&サッとゆでてサラダやセビッチェにしちゃいます。

ヒラメは生のまま使いましたが、イカやエビ、タコなどはサッと火を通したほうがかえって甘みも出ておいしいように思います。もちろん食中毒対策としても有効なので安心できるのも利点ですね。

~~~以下無駄口なので不要でしたら読み飛ばしてください~~

まったくの無駄口ですが今回使ったイカの中にまだまだしっかりした形状を保持したアジだかイワシだからしい魚がまるまると入っており、そんなことをまったく予期せずゴロを引き出そうと指を突っ込んで「アレ?なんか手ごたえ違う?」とノーバンでキャッチ → 悲鳴&両手に持っていたものをつい放り投げる → 台所に生イカ・イカゴロ・半溶けの魚の死骸およびそれらに付随したあれこれが飛び散る(自分の顔とかにも少しかぶる) → ヒィィーーとか震えつつとりあえず猛烈に手を洗う → 半泣きで掃除・・・という出来事がありました。エキサイティングin日常!!!!

さらに余談ですが、私は当初これをイカに捕食された未消化の魚かと思ったのですが、どうやらイカはトンビカラスと呼ばれる鋭いくちばしで噛み砕いてエサを食べるとのことなので、この魚はイカに丸飲みされて死んだというわけではなかったようです。しかしそれではイカの群れと一緒に網に捕まえられ、もまれるうちにイカの胴の中に偶然入ってしまい絶命ということ????ギャーーなにそれそんな死に方やだ怖い!!!いっそ噛み殺して!!!!!

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さあ盛り下がってまいりましたところで作り方です!

手順も材料もヒラメのセビッチェとよく似ていますが、私はイカやエビのセビッチェは魚よりも酸味を軽くして素材の甘さを前に出したほうがおいしいような気がするのでライムを少し少なめに使います。同じ理由で、チリペッパーも控えめに加減します。また、エビやイカはあまり水分をまとわない素材なので、ほのかな甘みはオレンジ果汁ではなく砂糖をちょっぴり使います。

1)イカはゴロを抜いて輪切りにし、たっぷりのお湯を沸かして15秒ほど湯通しします。すぐにお湯からザルに上げ、水が切れたら冷蔵庫で冷やします。ゆでたイカは水につけたりせず冷やしたほうがおいしいような気がします。

2)エビはサッとお湯でゆでてもいいのですが、フライパンに並べて白ワインを少量ふりかけてフタをして、短時間のワイン蒸しするとさらにおいしいです。色が赤くなったらすぐに火を消し、火が通り過ぎないようにしてプリプリ感を求めてください。

3)エビとイカが冷めたら、レモン1/2個分、ライム1/2個分の絞り汁、みじん切りのたまねぎ、オレガノ、こしょうをふりかけてよく混ぜ、20分ほど冷蔵庫で置いておきます。付け時間は20-30分程度の短時間で十分だと思います。
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4)漬け汁を捨て、砂糖、みじん切りのシレントロー、荒く刻んだトマトを加えて混ぜ、味見をしてライム、塩、こしょう、チリペッパーで味を整えてできあがり!
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マグロのセビッチェ
上記同様、作り方も材料もヒラメのセビッチェとよく似ていますが、アストリアの魚屋で売っているマグロは冷凍されていない生のものを魚一本から切り出して売っているので、軽く自分で水分を抜いたほうがおいしくできるようです。ペーパータオルとラップできっちり包んで冷蔵庫に一晩入れておくのも有効ですが、酒としょうゆでヅケにしてしまえばうまいこと塩分で身が締まります。セビッチェにする場合は、ほんの少し白身の魚よりも多目の塩を振って、しばらくして染み出てきた水分をペーパータオルで抑えておけばそれでいいと思います。

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そして私はマグロの場合はトマトのジューシーさがかえって余計なお世話みたいな気がするので、トマトは使いません。そして魚の味が濃く脂肪も比較的多いのでチリペッパーを強めに使います。

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蛋白変性して白っぽくなった色がイヤな感じですが、食べてみるとマグロのセビッチェが一番おいしいですね。

セビッチェはこのままワインの肴に食べるにも上等だし、コーントルティーヤでセビッチェタコスにしてしまうのもおいしいです。いつもの刺身の目先を変えたいと思ったらぜひどうぞー。

I have this recipe in English, too!
Flounder Ceviche

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セビッチェ・南米のお刺身マリネ」に12件のコメントがあります

  1. ゆうさん
    素晴らしいマリネ料理
    セビッチェっ
    南米の料理ですね

    素晴らしいレシピ
    ありがとうございます
    おいしそうです

    1. けっこういろんなお魚で作れておいしいですよー。
      日本でなら刺身用の魚がたくさんなのでほんとに何でも作れると思います。

  2. こんばんは。最近おじゃまさせて頂くようになりました。ゼビッチェ、とてもおいしそうだったのでイカで作ってみました。ですが、どうもシャンツアイの香りが苦手です。チリパウダーの香りなどはとてもおいしく感じたのですが、シャンツアイ抜きで作る場合、どうしたら味のバランスがとれるでしょうか?

    1. コメント&レシピを試していただいてありがとうございます!
      シャンツァイは苦手な人が多いですよね。南米のお料理なのでセビッチェにはよく使うのですが、嫌いなら使う必要は全然ないと思います。
      別にかわりに何かを使う必要もないと思いますが、何かの風味が欲しいならパセリやチャイブなどお好きなものを自由に使うといいかと。とくに決まりはないので好みの感じに作ってください。

  3. 幼いころ南米に住んでいて今度来客の時に振舞おうと思いこちらへたどり着きました!!ありがとうございます。

    1. コメントありがとうございます。
      無駄口が多くてあんまり役に立たないレシピばかりでスミマセン。お役に立てたらよいのですが。

  4. 過去投稿にコメント失礼致します。
    先日セビッチェ作りました〜!シレントローがなくセロリで代用したのですが美味しかったです!
    スモークサーモンのマリネなんかはけっこう頻繁に作るんですが、まあ手抜きで、さらしたタマネギスライスの上にサーモン乗せてポッカレモンドバドバかけるって感じで、それも美味いんですが、ちゃんとライムとかオレンジとか絞って一時間くらい寝かしてって手間をかけてあげるとやっぱ美味しいですね!そちらはハーブやレモンライムが手頃な価格でたくさん手に入るのでしょうか?羨ましいです。。
    ちなみにですが、ゆうさんはシレントロー、最初からイケル口でした?もし何かのきっかけでいけるようになったとかならそのきっかけが知りたいです。私、あとちょっとな感じなんですよね…

  5. 本当に美味しくて はまってしまいました。 うちの かなこが大好きです。 毎週 作って欲しいとリクエストがありますよ。

    1. コメント&レシピお試しありがとうございます。
      セビッチェって材料次第ですよね。毎週おいしいセビッチェが食べられる生活がうらやましい!

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