サンクスギビングまであと二週間にせまりました。5キロ超の大物を丸ごと料理するめったにない機会・・・・ぶるるるr(武者震い)。
普段は作れない大物・ターキーを焼くのを手ぐすねひいて待っていたお料理ラバーのみなさまのため、ターキーレシピを検索して情報過多で迷子になってしまったみなさまのため、粘着質な性格にものを言わせてあれこれ調べてみましたのでズズイとお読みください。
ターキー関連記事の一覧です。
ターキーを焼こう!解凍・ブライン編
ターキーのレシピは検索すると何千とヒットしますが、その中からどれを参考にしてどう作るか決めるのに迷うのが楽しいところですよね。なので単にレシピをひとつ載せるのではなく、いろんな方法があるけどそれぞれどんな出来上がりになるの?みたいなことをまとめて「なるほどなるほど、そういう効果のある手法ならばやってみよう」「あ、そんなことならやらなくていいや」と、みなさんが自由に不安なく意欲のままにお料理するのにお役に立つよういろいろ書いてみました。
去年、かなり力を入れてターキー関連の記事をかいていたところ、サンクスギビング当日にデジカメが壊れて私も壊れるところでした。ムキーッて。
なので焼けたツヤツヤの皮の質感がいまいちハッキリしないショボイ写真byスマホです。今思い出しても腹立たしい。
日本にお住まいの方へ
日本国内の方はお持ちのオーブンの大きさを考慮する必要があります。日本で普及しているオーブンレンジなら10パウンド強のターキーは無理だと思います。
ちょっと検索してみたら、4キロ弱(6-8パウンド)の冷凍ターキーが日本でも売っていました。おそらくベビーターキーだと思います。このくらいのサイズなら作れるかな。
![]() Turkey 6〜8Pound 約6〜8人分 アメリカ産6〜8ポンド(約2.7〜3.6Kg) ターキー(七面鳥) … |
ゆっくり解凍、なぜ?
ターキーは通常冷凍されて売っています。ターキーは小型でも10パウンド(約4.5キロ)くらいなのでこれを解凍するには時間が掛かりますが、室温でなく冷蔵庫の中で数日かけてゆっくり解凍することが強く推奨されています。
まず最大の理由は、常温で解凍しようとすると中心部が解凍される前に表面部分は室温程度の温度=細菌などの増殖に最適温度になってしまうことだそうです。食中毒の危険性ももちろんですが、品質の劣化も著しいので結局おいしく出来上がらないということになるのだそうです。また、低温解凍でないと解凍中にドリップ(肉汁)が大量で出てしまい、そのためうまみも損なわれ、ぱさぱさした質感にもなってしまうとか。
冷蔵庫で解凍するには、ターキーの重量が5パウンドにつき24時間かかるといいますので、10パウンドなら2日、15パウンドなら3日の計算です。しかし実際には冷蔵庫の温度や、どのくらいガッチリと冷凍されていたかなどで前後します。目安より1日ほど余裕を持っていたほうが安心です。
どうしても急いで解凍したいときには、ターキーがすっぽり入る大きさの容器に氷をたくさん敷いて、その上にターキーを乗せ、更にたくさんの氷をかぶせてから水を張り、弱い水流で水を注ぎ続ける流水法という解凍方法だと熱伝導的に効率がよく、冷蔵庫よりも早く解凍できるらしいです。しかしただ水道水を注ぐだけだと温度上昇が高すぎ鮮度が急激に劣化してしまうため、肉の上下に常時氷が必要とのことだったので途中で氷を足すとか、けっこう手間がかかりそう。
ブラインってなーに?
お料理の範疇ではブライン(brine)と言うと塩水に肉や魚を漬けることです。たいていの場合はただの塩水ではなくハーブやスパイスで調味した塩水を使います。
ターキーのレシピを検索するとブラインする方法がかなりの高確率で使われているのですが、実際にそれってどうなの?3日もかかって解凍した後でもう1日漬けるとか、そんな時間かけて作る意味あるの?と言うことでこれも調べてみました。
通常、筋肉繊維は加熱されると重量でその30%にあたる水分を失うものだそうです。ターキーや鶏の胸肉はもともと脂肪が少なくたんぱく質が多い肉質なので、ぱさぱさもそもそする食べごごちにならないようにするには保湿がキーになります。
そこで塩水に肉を漬けると、1)塩で浸透圧が強くなっているので肉がよく水分を吸い込む、2)筋肉繊維の一部が塩により溶解し、そのため肉質がやわらかくなる、3)塩水が浸透することで筋肉繊維が膨らんでほぐれてたんぱく質の線維束が一部破壊され、塩水の水分が破壊された繊維束の隙間に入り込み保持されるので調理後の肉質がジューシーになる・・・などの効果があるのだそうです。
結果としてブラインすると、加熱調理したときに失う水分が約15%に抑えられるのだそうです。ほほう。漬けて水分を吸わせていることを考えるとかなり違いそうですね。
以上は保湿してジューシーさを目指す方法ですが、実はアメリカではけっこう乱暴な手も普及していて、でかい注射器で溶かしたバターなどの油脂を肉に注入するレシピもあります。絵柄的にビミョーに危ない連想をしてしまいそうだし専門の道具を用意しなきゃいけないのでここでは取り上げませんが、シンプソンズでマージが双子のお姉さんとでかい注射器でターキーにバター打ちまくってましたよね。
(拾い画像)
ブライン方法
漬ける塩水ですが、私がbutterballを使ってやってみたところ、1ガロンの水に200gの塩で24時間ほどブラインするとちょうどよかったです。
ブラインは、以上に書いた肉質変化に加えて塩味や風味をつけることも大きな目的であるので、ただの塩水でなくアップルサイダー(日本で売ってるラムネみたいなものでなく、りんごで作ったアルコールを含まないワインみたいなもの)やスープストックを使ったり、ハーブや果物、香味野菜などを加えて香りや味をつけられるのも楽しいですね。
ブライン液に砂糖を混ぜるというレシピもたまに見ますが、砂糖には肉質変化に対する作用はほとんどないということです。しかし甘みのある液が肉にしみこむという効果はあるので、ほんのり甘い、メープルハムのような味付けが好きならここは使ってみるべきかと。私は使います。
私はブライン液に砂糖をカップ1ほど加え甘みをつけ、オレンジやりんごをざく切りにしたものにローズマリーとオレガノを加えてフルーティな感じにし、さらにバーボンを加えてアルコールによる肉臭軽減効果およびアメリカっぽさを演出するのが気に入っています。
ターキーがすっぽり入るでかいバケツみたいな容器があればそれを使えばいいのですが、お持ちでない場合はゴミ袋を使うのが効率がいいと思います。冷蔵庫の中で液モレされたら大変なので、strong とか heavy duty とかのバッグを選ぶことをお勧めします。二重にしましょう。念のため。
参考サイト
USDA Turkey Basics: Safe Thawing
Why Brining Keeps Turkey and Other Meat So Moist
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こんばんわ!以前コメントしたはんたんと申します。
クリスマスの売れ残り半額ターキーを見つけたので、ただ今ブレイン中です。
大雪の札幌、マイナスにならなさそうなので塩水に漬けながらベランダに絶賛放置中!
丸鶏のときはいつもピラフ?おこわを入れていたのですが、今回ブログを拝見したところあまりよろしくない雰囲気ですね。
明日オーブンバッグが買えれば、ピラフ。買えなかったときはオレンジとセロリいれてみようとおもいます。
おお!札幌の方ですか!
私は函館出身で、今妹が恵庭に住んでいます。北海道なつかしいなー。
詰め物については理屈を言えば可否がある、くらいの話なので好みで自由に作ってもおいしく出来ると思います。
こんばんは。初めまして、かずです。今年の5月にアメリカに来たばかりで、旦那さんからThanksgivingに、ターキーが食べたいと言われたものの、鶏の皮が苦手で、んなバカな!と聞き流していたのですが…
アメリカ人の旦那さんを持つ友人から、こちらの説明見るとよくわかるよ〜と教えてもらいました。本当にとてもわかりやすくて、こんな私でも「よし作ってみるか!」という気持ちになり(ありがとうございます!)、ただいまブライン中です。
Yuさんのブログは、こんな苦労もあったし失敗もあったよ!みたいなことまで書かれていて、楽しく読めましたし、そうか〜そういうところで失敗するのかぁと、勉強になりました。
あとは、”そこそこ”うまく焼ければいいんですが。不安もありますが、ちょっとだけ楽しみです。
おお!やりたくなかった人に「やってみるか」と思ってもらえたなら、ほんとうれしい限りです。お友達にもお礼をお伝えください。
生焼けとコゲだけ防げればド失敗にはならないはずです。がんばってー!
Yuさん。ターキー、焼けました〜。ジューシーにとっても美味しく。
Yuさんのレシピにかなり忠実に(というよりアレンジしようもない私なので) こちらのブログを読みながら焼きました。ちょっとだけこげてしまいましたが照りもついて見た目もGood。旦那さんからも「美味しい!」とのお言葉をいただきました。
ありがとうございます! 来年も頑張って焼いてみようかなと思っています。
はじめまして。ノリコと申します。ロンドン在住です。今まさにブライン中です。Yuさんのこのサイトページ非常に参考になりました。ターキー料理の一連の流れからなぜこうするのか、その理由説明までちゃんと分析して紹介されていて感心しながら読ませてもらってます。スタッフィングの疑問も解決です。今年はおいしく作れそうです。
ありがとうございました。
、
はじめまして、コメントありがとうございます。
記事が長すぎて読むのもうんざりする人が多いんじゃないかなー、と心配していたのでこういうお声はとてもうれしいです。ありがとうございます。
初めまして、ロサンゼルス在住、みほと申します。
もうすぐ感謝祭で、上に方々同様、主人(日本人ですが、在米30年) が今年はどうしてもターキーの丸焼きをうちで食べたいとさっさと友人たちを招待してしまって、かなりのプレッシャーを感じています。
たくさんあるレシピの中で、まだ、レシピも決まらずあせっていました。
どうしようと思ってるところへここへたどり着き、私もブライン方法でやることに決定しました。
なんだか、すごーく安心しました。
詳しいご説明本当にありがとうございます。
初めてのターキー、成功しそうな予感です (笑)
がんばりまーす
コメントありがとうございます。
読んでみて安心して取り組めそうという気持ちになってもらえると、ほんと書いた冥加があるというものです。ありがとうございます。
とても丁寧な記事で、勉強させていただいています♪
砂糖には保湿効果があるみたいです。
塩よりも浸透圧が低く、しっとりする効果を得るため砂糖を使うようです。
一般に砂糖も保湿効果はあるのですが、おっしゃる通りここではすでにより浸透圧の高い塩が相当量使われているので、塩より浸透圧の低い砂糖からは保湿効果は得られないということだそうです。
こんにちは。美和です。1999~2002までテネシーにいました。愛知県のクリスチャンです。最近は日本でもターキーが簡単に手にはいるので感謝際には親しい人達を呼んで毎年焼いています。
アメリカの母のレシピはお腹にざく切りリンゴを詰めてハーブスパイスをまぶすシンプルなものでした。何年もそれをやっていましたがブラインを丁寧にやっていなかったのがパサパサの原因だったんですね。これで母の味を再現できそうです。ありがとうございました。
お返事遅くなってすみません。今年のターキーはおいしくできたでしょうか~?