アメリカってできて200年ちょっとの比較的若い国で、しかも自分の文化をすでに持っていたヨーロッパ系移民がワッと移住して来て成立した国でもあるので、一般に典型的なアメリカンフードだと思われてるお料理ももともとは欧州起源なことがしばしばです。そんななかでもアメリカ独自の料理を探すと、やっぱり土地のものを材料に使ったものが多いことに気がつきますね。
・・・となると、建国当初から重要な蛋白源としてアメリカの人々の生活を支えてきたこの食材を使った一品はぜひともご紹介せねばなりますまい。
キャットフィッシュ。ナマズです。
ナマズ子「地震予知とかは期待しないで」
キャットフィッシュ
淡水で生息し水質汚濁にも強く、なんでも食べる雑食性と強靭な生命力を持つナマズは昔から世界各地で食用にされていて、特にアメリカでは南北戦争後に困窮の時代を迎えた南部諸州で貴重な蛋白源として人々の生活を支えたそうです。今もミシシッピなど南部アメリカに大きな生産地が集中しており、キャットフィッシュ料理が広く浸透しているのも南部ですね。
とぼけた顔があいくるしいこの子たちですが食材としてのグルメ評価はビミョーで、沼などの底に生息しているため肉が泥臭く、肉質が水っぽく風味に欠けるという意見が一般的です。一方、正しい下ごしらえをして料理するとフンワリした食感と淡白で上品な味わいがスバラシイ、という意見もあるようです。
どちらにしても高級食材ではないのですが、低カロリー・低脂肪で高たんぱくなヘルシー食材でもあり、食べてマズイものでは決してありません。しかし、煮るとくずれる、塩焼きしても味気ない・・と、弱点を強調してしまう調理法は避け、衣をつけて揚げる料理が一番理にかなっていると思われます。
材料
キャットフィッシュ 400g
コーンミール粉 (とうもろこしを乾燥させて挽いたもの。アメリカではよく使う食材です)
塩こしょう
揚げ油
レモン
ケイジャンスパイスミックス
ケイジャンスパイスってなーに?
ルイジアナを中心とした南部アメリカのお料理スタイルに、ケイジャンというのがあります。基本的にはカイエンペッパーなどを中心に調合したスパイス(これがケイジャンミックス)を多用し、コーンミール、キャットフィッシュ、クロウフィッシュ(ザリガニ)など土地の食材を料理するもので、ガンボやジャンバラヤが代表的です。
ケイジャンミックススパイスには特に厳密なレシピがあるわけでなく、各家庭やレストランでさまざまです。アメリカでは普通のスーパーにあらかじめ混ぜてあるものも売っていますが、自分で調合するなら以下のスパイスやハーブから数種類を適当に混ぜ、なんとなく赤くて辛すぎない感じにしてください。
カイエンペッパー
ガーリックパウダー
チリペッパー
タイム
バジル
スイートパプリカパウダー
こしょう
オニオンパウダー
作り方
1) まずキャットフィッシュを食べやすい大きさの切り身にして、軽くレモン汁と塩こしょうを振りかけ10分ほど置いておきます。
レモンはキャットフィッシュ独特の臭みを取るためです。牛乳に10分程度浸すのも効果的ですが、そうすると私はますます肉が水っぽくなるように感じるので、レモンと一緒に塩をふりかけ少し水分を出すことにしています。
2)10分ほど経ったら軽く水がにじみ出ていると思います。キッチンペーパーなどで水気をおさえ、ケイジャンスパイスをタップリめにふりかけます。
3)フライにパン粉をつける要領でコーンミールを着せます。小麦粉まぶしてからとき卵にくぐらせて・・・とか一切ナシです。いきなりコーンミールをつけてオッケです。アメリカ料理だし大雑把に行こう(←バカにしてる?)。
・・・ってやだ!コーンミールまだあったと思ったらコーンブレッドの粉(コーンミールに小麦粉やベーキングパウダーなどが混ぜてあるもの)だったわ!まあ今日はこれでイイや(←アメリカ人にもめったにいないレベルのズポラ)。
ジュワジュワーー!
やだ反り返ってきちゃった。この魚は皮が強情で、包丁で切れ目を入れるとかができないのよ。。。ヘタに触ると衣がはがれてくるからそのまま揚げる。
それではアツアツのうちにタルタルソースとレモンでイタダキマース!
あつあつ・・・身がフカフカで柔らかくて優しい感じ。スパイスをきかせて衣をつけて油でカリッと揚げてしまえば、臭みとかは全然気にならないわ。ドテラなどは「魚のフライならマスかサーモンの方がうまいなあ」との感想ですが、白身の魚としては上々じゃないかな?
衣をつけて揚げることで水っぽく柔らかい肉質に歯ごたえと食感を補い、独特の臭みは調合スパイスをまぶして抑える・・・まさに足らざるを補い余り有るを損じた、合理的かつ時代の流れに淘汰されないレシピだと思います。アメリカ人は料理をしないとか言われますが、よく考えられて伝わっているこんなレシピもあるんですね。
何かあった日のゴチソウではないけど、毎日の食事としてありがたいものであったし、これからもそうあり続けるだろうという一品。アメリカにお住まいのかたは、安価で手に入りやすい魚でもありますしぜひお試しください。
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