リンツァートルテ

リンツァートルテ・・・その響きからしてヨーロピアン。。。姿は美しく、昨今のフワフワとか甘さ控えめとかをコンセプトにした流行お菓子どもとは一線を画す格式と歴史を感じさせるステキなお菓子です。

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久しぶりに本気出して作った力作焼き菓子、長めの文章でネッチリ書きましたがよろしくおつきあいください。

リンツァートルテってなーに?
1600年代にはすでにものの本にそのレシピが残っているという大変古い歴史のあるお菓子で、その発祥はオーストリアのリンツ地方といわれています。名前もリンツのお菓子という意味(Linzer Torte)です。今でも特にドイツ、オーストリアあたりで人気で、今回もドイツ人ドテラからのリクエストにより作りました。

ナッツを細かく粉砕したものと小麦粉を混ぜ、シナモン、クローブなどのスパイスを利かせたクッキー生地にジャムをたっぷり塗り、その上にさらにクッキー生地を格子に乗せて焼き上げるのが特徴です。

クッキーというにはシットリしているけどとてもケーキとは言えない生地のサクサク感、ジャムのネットリした質感と甘さ、ナッツのコクとスパイスの風味がすばらしい相乗効果の、時代を超えても淘汰されない立派なお菓子だと思います。作るのに手間がかかり、手順も難しくもあるのでお菓子つくりにある程度慣れている方にお勧めします。

注意点&解決策

このレシピを作るときに特に気をつけた点は、1)表面の格子柄を作りやすい方法を見つけること、2)切り分けるときに底がボロボロと崩れてしまわない生地の配合にすること、の二点です。

1)についてですが、一回目のトライは大変でしたよ。私の持っているレシピ本に「表面の飾りはしぼり出し袋使うとカンタンだよ☆しぼり出し袋とか買うことないよ!パラフィン紙で行ける行ける☆」とか書いてあるのを鵜呑みにした自分に腹が立つばかり。。。。

固いクッキー生地がしぼり出しにくく絞っているうちに口が広がって生地が太く出すぎる→ 格子が非常に大雑把になったばかりでなく途中で生地が足りなくなる→ 急いでバター、小麦粉などを混ぜて生地を作り足す→ 配合がワヤだったらしく、焼いたらドバーーっと広がってしまったとかいう、ここ近年まれなカオスに見舞われました。

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食べてみるとおいしいことはおいしいんだけどビジュアル的にこの残念な感じ・・・たとえて言えば高身長・高学歴・高収入な彼の財布がマジックテープだったヽ(・ω・)/ズコー みたいな。

そして2)についてですが、リンツァートルテは丸いタルト型などで焼いてケーキのように扇形に切って一切れ食べることもあるのですが、重くて甘いので四角く焼いて3-4センチ角程度に切り分けて食べることが多いです。そのため、小さく切ってもボロボロしないで欲しいのですが、生地にナッツが入っているためそれが難しい。

私はとくに切った後で持ち歩いても大丈夫なようにある程度強度をつけたかったので、ネットや本で見つけたほとんどのレシピよりもナッツの使用量を減らしました。また、生地にシットリ感を持たせるため卵黄だけを使うレシピが本当なのですが、これも生地を崩れにくくするため、全卵を使用しました。なので本場のリンツァートルテと比較するとちょっとカッチリしています。お好みの焼き上がりになるよう、レシピ途中で注釈を入れながら書いてみます。

材料 (18cm x 20cm の型ひとつ分)
小麦粉 170g
ベーキングパウダー こさじ1
アーモンド 40g
くるみ 40g
バター 135g (室温で柔らかくしておく)
砂糖 40g
卵 1個
ナツメグ、シナモン、クローブ、オールスパイスの粉末 各小さじ1/8ずつ
レモンの皮 レモン1/2個分(おろしがねで表面の黄色いところだけおろします。レモンポピーシードクッキーをご参照ください。)

ジャム 2/3 カップ
キルシュ おおさじ1-2

持ち運びの必要がなく、いくらかほろほろしっとりした本場の質感に焼き上げたいときには、全卵1個のかわりに卵黄2個を使用し、アーモンドとくるみを60gずつ使用してください。

作り方
1)焼き型にアルミホイルを敷き、バターを塗っておきます。

2)小麦粉とベーキングパウダー、ナツメグ、シナモン、クローブ、オールスパイスの粉末をあわせてふるっておきます。もし手元にすべてのスパイスがなければ、ナツメグとシナモンだけあればオッケです。

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スパイスは好き嫌いがあるし、日本ではあまり強い香りは好まれないので適宜加減してください。アメリカではシナモンをシッカリ使ったお菓子が好きな人が多いようです。

3)アーモンドとくるみをフードプロセッサかミキサーに入れ、しっとりした粉末になるまで粉砕します。

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もし手に入るならヘーゼルナッツも使うとさらに本格的です。その際にはアーモンド、くるみ、ヘーゼルナッツを各30gずつ使うとちょうどいいでしょう。

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なんとなくコナゴナになった感じでなく、シットリした質感になるくらい細かく粉砕します。上の写真ではまだ粗いです。粒が粗いと焼きあがった生地が崩れやすくなります(自分で書いていて気になったんですが、私、生地崩れに対する危機感を持ちすぎでしょうか)。

4)ボウルに室温で柔らかくしたバターを入れ、泡だて器かハンドミキサーでよく混ぜ、砂糖を数回に分けて加え、都度よく混ぜます。
白っぽくフンワリするまで混ぜましょう。
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暖かくなってきたもんだからバターも溶け気味。

5)小さな容器に卵を割りいれ、よく溶いて4)のボウルに少しずつ加え、よく混ぜます。

6)ヘラに持ち替え、5)のボウルに2)の小麦粉類と3)の粉砕ナッツ、レモンの皮を数回に分けて加え、サックリと混ぜます。

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7)6)の生地がひとまとまりになったら、3:1くらいにざっくりと分けます。計量とかする必要はありません、目分量でオッケ。

8)多いほうの生地を1)で用意した焼き型の底に敷きます。手を使って、軽く押し付けるようにして平らに伸ばします。

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残りの生地はラップで包みます。焼き型(これにもラップをして乾燥を防ぎます)と残りの生地の両方を冷蔵庫に入れて20-30分ほど寝かします。それにしても指の跡もう少しどうにかできなかったものか。怖い壁画みたい。

9) ジャムとキルシュを混ぜ合わせます。もしキルシュがなければ変わりにお好きな洋酒を使ってください。というか、面倒であれば別に洋酒で伸ばさなくてもオッケです。

10) オーブンを170度(華氏340度)に温めます。

11)冷蔵庫から焼き型を出し、9)のジャムを一面に塗ります。
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うわー甘そー・・・とゲンナリなさるかもしれませんが、ここでジャムをケチってしまうともそもそして喉が詰まりそうな質感&味気ないそっけない残念な出来上がりとなってまいます。また、手作りジャムによくある水っぽい甘さ控えめジャムとかも不適です。歴史あるヨーロピアンなおかしなのですからコッテリした本物のジャムらしいジャムを使いましょう。

本来、カラントのジャムを使うものだそうですが、ドテラその他ドイツ人に言わせると赤いジャムなら何でも良いらしいです。個人的には別にママレードとかでもおいしく出来そうとか思います。お好きなジャムを使って良いのではないかと。

12)そしてここからが勝負!
格子状の美しい模様に生地を表面に乗っけたいのですが、いくつか方法があります。

まず絞り出す方法は、ちゃんとした口のついた絞り出し袋をお持ちで手順に慣れているのでなければよしたほうが無難です。もう私は二度とやりません。

次に子供がネンドで蛇を作るように生地を手でひも状にする方法がありますが、これは触っているうちに体温で生地がダレてくるし、均一の太さにするのも難しいのでビミョーです。

面倒なようですが、私は台に打ち粉をして伸し棒で伸ばしたものを細く切るのが確実だと思いました。

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平たく伸して、定規を当てながらナイフでまっすぐな線上に切っていきます。見た目の美しさも上記の三方法の中で一番優れていると思います。

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どこまでも一本の生地でやろうとせず、途中で切れちゃってもご愛嬌くらいで良いのでは。いかにもな手作り感をしたたかにアピールしましょう。

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ハンパに余った生地は手で平たく丸めてオーブンのすみっこでクッキーにして焼いちゃいましょう。

13) 温めておいたオーブンの上段にいれて、40-50分ほど焼きます。

14) ジャムがふつふつして、きれいな焼き色がついたら出来上がり!焼き時間が長いので底が焼けすぎたりしないよう、オーブンの上段を使ってください。日本のオーブンレンジなら無問題です。

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さあどうです!

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さあどうです!(二度言っちゃう)

冷めたら型からそっとアルミホイルごとトルテを持ち上げてまな板に移動し、よく切れる大きな包丁で切り分けます。キコキコ小刻みに切るのではなく、上からドスンと一息に断つように切ると割れや崩れが出にくいようです。

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ドテラおおよろこび!ドテラおおよろこび!(再度二回言っちゃう。力み具合がお分かりでしょうか。)

パーティーにも持っていきましたが、ドイツ系のお兄さんたちに非常に喜ばれ私もうれしかったです。
日本ではあまり見ないお菓子ですが、ヨーロッパで暮らしていた人たちにはとても人気の定番お菓子です。NYでもあんまりあちこちのケーキ屋で売っているものでもないし、作るのも難しいので手作りする人もそう多くないようです。作ってみようと思う方も多くないとは思いますが、それら少数の方のお役に立てればと思いつつ書きました。

I have this recipe in English, too.
Linzer Torte

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リンツァートルテ」への4件のフィードバック

  1. ピンバック: Linzer Torte | cooklikejapanese

  2. ピンバック: サムプリント・ジャム・クッキー | お料理ダイスキ!ニューヨークおうちごはん

  3. いつも楽しく拝見しています。リンツァートルテ、チャレンジしましたよ!タネ作ってジャム乗せるとこまでは順調でした。が、手っ取り早くしたかったために、まあいけるやろ、と冷蔵庫で冷やしたタネを、打ち粉せずに、ラップの上から伸ばして包丁で切ってしまいました。ゆうさんの注意と日本の猛暑をなめていました。ねちょねちょ地獄に陥りましたが、なんとか格子状らしくできました。クッキー部分は抜群でしたが、惜しむらくはジャム。安い大瓶のジャムが飴っぽくなってしまい、歯にくっつくのなんの・・・。反省。次は美味しいジャムで作ります。

    • ええっ!リンツァートルテを作ってもらえたんですか!ありがとうございます!
      「こんな面倒で地味なケーキ作る人もいないだろうなぁ。。」とか思いながら書いたレシピでした。
      ジャムですが、たぶん材料に水あめとかコーンシロップとかを使ったものだとネッチョリする質感になるんじゃないのかなー。私はボンヌママンのジャムを使うことが多いです。日本でも売ってますよね。

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