アメリカ南部風カントリーアップルパイ

アップルパイ・・・・世界各地でこれほど普遍的に作られていて、かつ地域ごとに独自の個性を誇示している菓子が他にあろうか。

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アップルパイは世界各地でよく作られているのでレシピもさまざまです。少し検索してみましたが、各地それぞれの特徴があっておもしろいです。いつかこれらを一度に作って食べ比べてみたいです。糖尿で死ぬ。

しばらく忙しくてブログに取り組めず書きたい意欲がたまりすぎていたので、生地のこと、りんごのこと、いろいろネッチリと書き込みましたよ。無駄口とか不要と言う方はグイーーーッとスクロールダウンして材料のところからお読みください。たいして読むべきことも書いてませんから。

アップルパイあれこれ

おそらくアップルパイといえば繊細な層が美しいフランス風の折りパイがまっさきに思い浮かぶのではないでしょうか。表面には意匠的なデザインのパイ生地をのせたり、整然と並んた薄切りりんごが焼き目も美しかったりと、ビジュアル的にも魅力的で日本の洋菓子屋さんやケーキ屋さんでもこのタイプが多いですよね。

一方、「一日一個で医者知らず」とか言っちゃうくらいのりんご国イギリスでは、タルト生地に近いサクサクのショートクラスト・ペストリーを使います。表面にも一枚パイ生地を乗っけてしまい、いかにも家庭的な感じです。


「ヨーロッパ中でアップルパイを作ってるけど、まっとうなアップルパイの作り方を知ってるのはイギリス人よ!」とか大きく出たわりに売ってる冷凍パイ生地使ってる&できあがりの見た目もショボイとか、私もこのくらい堂々としてもいいんだ・・・って勇気がでますね。

また、アップサイドダウン型の代表格、タタンおばさんのウッカリから生まれたとう説話で有名なタルト・タタンも、焼いて表面がキャラメル化したリンゴは他のアップルパイにはない魅力があり安定した支持を得ています。

さらにフランスの一部でありながら独自の文化を保ち続けてきたアルザス地方には生クリームや牛乳をたっぷり使ったゆるめのカスタードクリームをリンゴの隙間に流し込んで焼き上げるレシピがあり、そのまろやかさには類がありません。

私が個人的に大好物なのですが、日本のリンゴ県(青森)では世界でもけっこう珍しいリンゴを丸ごと使ったアップルパイ(気になるリンゴHPにリンク)が人気お土産商品となっています。これ大好きです。

りんごの種類あれこれ
使用するりんごの種類はなんでもいいとは思うのですが、一応アメリカなら伝統的にグラニー・スミス(Granny Smith)という青いりんごがップルパイに適しているといわれています。酸味が強く、歯ごたえがあり、加熱すると糖度が2倍近くまで増加するのが特徴です。日本ではあまり流通していないようです。

日本でアップルパイに適している代表的な種類というと紅玉でしょうか。酸味がほどよく、加熱しても崩れにくいので焼き菓子に向いています。アメリカではジョナサン(Jonathan)といいます。

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これらようなシャッキリ系のりんごとは逆に、トロリととろけるようなやわらかさのあるりんごがたっぷりのアップルパイもまた一興ですよね。特に子供向けに作るときとか。こういう煮崩れしやすい種類だとアメリカだとマッキントッシュ(MacIntosh)が代表格だと思います。アメリカは離乳食にりんごを煮たものをよく使うのですが、その用途にもよく使われるそうです。

個人的には、フジも酸味甘み固さがパイに使うにはちょうどいいと思います。生食してもおいしいから余っても困らないしね。

そしてアメリカのアップルパイ
アメリカではお母さんのお料理というとアップルパイなんだそうです。日本で言う肉じゃが的ポジションだと思います。なのでアメリカ風と一口に言っても各家庭や地域でレシピもまた多様なのですが、私が作るアップルパイはアメリカ南部(南米でなくアメリカ国内の南部諸州)のカントリー調アップルパイです。

特徴は層になった折りパイではなくサックリした練りパイで、上面にはパイ生地でなくシナモンやナツメグをきかせたそぼろ状のトッピングをリンゴの上にたっぷりのせて焼き上げます。りんごのジューシーさと、そぼろのバター&シュガーがすばらしい相乗効果で、「リンゴの上にもパイ生地乗せちゃうなんて、これ知らないかわいそうな人たち・・・」と思ってしまうレベルです。

また、本来、南部風アップルパイは事前にりんごを煮て、その煮汁をコーンスターチでとろみをつけたベイクド・アップルにしてフィリングに使うのですが、私はこのドロリ&モッタリ&ぼやっとした甘さのりんごの甘煮が余計なお世話みたいに感じてしまうので、生のリンゴに砂糖をまぶしてそのまま使います。手間がかからず簡単なのも魅力ですが、歯ごたえもジューシーさも甘さも、この方法で焼いた方がちょうどよくバランスが取れているように思います。

さらに、本当はアメリカ南部風のパイではパイ生地はバターでなくショートニングやラードを使います。焼き上がりはサックリしますが風味に乏しく、トランス脂肪酸とかもやばいので私はバターを使います。

材料(23cmくらいの焼き型)

小麦粉 200g
バター 120g(冷蔵庫で冷たくしておく)
冷水 おおさじ3程度
りんご 3-4個
砂糖 50g
レモン 1/2個
パン粉 おおさじ2-3

そぼろ材料
バター 70g(冷蔵庫から出して室温でやわらかくしておく)
砂糖 70g(好みでブラウンシュガーなど)
小麦粉 100g
シナモン、ナツメグ 少々

作り方
1)まずパイ生地を作りましょう。折りパイじゃないので大して手間でなく作れるレシピではありますが、面倒なら冷凍のパイシートを買ってきて使ってください。

小麦粉をボウルに入れ、冷蔵庫から出したばかりの冷たいバターをナイフで適当な大きさに切ったものを一緒に入れます。
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パイ生地のバターと小麦粉の比率はレシピによってけっこう違いますよね。一般に、層になる折りパイの生地のほうがバター使用量が多く、小麦粉:バターが5:4から5:5くらいの割合で使います。
今回私が作る練りパイ生地だとそれほどバターは多く使わず、5:3くらいの割合でおいしくできます。

2)手を使ってバターと粉を混ぜます。バターに粉をまぶしながら崩す感じでどうぞ。すべて混ざったら、全体的にぱらぱらしっとり・・・となるはずです。

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キュッと握ると軽く形のついた崩れやすいかたまりができるくらいの質感。

3)ここに冷水を混ぜていきます。コップに適当な量の水と氷を入れて準備して、2)のボウルに少しずつ加えて混ぜます。

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水の使用量はほんの少量、たぶん大さじ3程度だと思いますが、厳密に計ってしまうより、様子を見ながら少しずつ垂らして混ぜていく方が失敗なくできると思います。水を多く入れすぎてやわらかくなってしまうと扱いにくくなるので注意。

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やっとひとまとまりになるくらいの固めの生地にしてください。こねたり練ったりせず、ところどころ混ぜムラがあるくらいでけっこうです。これにラップをして冷蔵庫に入れ1-2時間ほど休ませます。

クレープやパン生地のレシピでも「生地を冷蔵庫で数時間休ませろ」とはよく言われますが、これはグルテンを安定させ、成型しやすくするためです。こねてすぐの生地を台の上で伸ばそうとしても、弾力がありすぎてすぐもとの形に戻ろうとしてなかなか伸ばせないことがありますよね。これを防ぎます。また焼き縮みも防止できるので、「数時間待てとか知るもんか」とかまわず速攻で焼いてしまったり、「とにかく冷やせばいいんだろ?」と冷凍庫にぶち込んでしまったりはしない方がよろしいでしょう。

また、パイ生地やバター比率の高いクッキー生地などは、バターが冷えて固まっている状態でないと生地がダレて扱えないとか成型できないというのも生地を冷やしておく理由です。極端な例はアイスボックスクッキーです。

4)生地を休ませている間にりんごの用意をします。まずボウルにレモン1/2個を絞ったものを入れます。

5)りんごを1/6もしくは1/8のくし型に切って、皮をむき、小さめ一口大くらいに切ります。
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無駄口だけど、アメリカ人ってウサギりんごに切ってやると素でビックリしてくれるよね。
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 「さすが折り紙アートの国の人!スッゲー!!」とか言われるレベル(実話)。

6) 5)のボウルに切ったりんごを次々と入れ、都度軽く混ぜてりんごにレモン汁をまとわせます。これでスッキリした酸味が加えられ、変色も防げます。焼いちゃえばわからないくらいだから変色とかあんま気にすることもないんですけど。

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7) 6)のりんごに砂糖とシナモン少々をふりかけ、ざっと混ぜてまぶします。

8)パイ型に軽くパター(分量外)を塗り、軽く粉をはたいておきます。

9)そぼろを作ります。室温でやわらかくしておいたバター、砂糖、シナモン、ナツメグをボウルに入れ、フォークでザックリと混ぜます。好みでブラウンシュガーを使うのもアリ。シナモンは好き嫌いがあるので好みで使用量を加減してください。
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ところどころ混ざってないくらいのムラがあって良し。練ったりこねたりしないように。

10) オーブンを華氏400度(摂氏200度)に温めます。

11) 休ませたパイ生地を伸ばします。
テーブルや台に小麦粉(分量外)を打ち粉として振りまき、その上で生地を伸ばします。

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生地が冷たくて固く、割れてしまうことが多いので、最初は手で上から押すようにして伸ばすといいかも。ある程度平たくなったら麺棒を使うとはかどりますが、麺棒をお持ちでない方は最後まで手だけで押し伸ばしても問題ありません。

12) 焼き型より一回り大きいサイズに伸ばしたら、そっと焼き型の上に乗せ、焼き型底面・側面に生地を軽く押し付けるように貼り付けます。
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その上を麺棒を押し付けるように転がして、一気に余分なパイ生地を切り落とします。

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麺棒がなければ、ふちをナイフでなぞって余分なパイ生地を切り落としてください。

13) いよいよ仕上げです!11)のパイ生地の上にパン粉をサラサラと振りかけてください。

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りんごから出てくる水分で底面のパイ生地がメッチョリ&シンナリしちゃうとがっかりですよね。「何か水分吸ってくれるものここに敷ければいいんだけどーーー」と考えてたときに、いつか思いつきでパン粉を使ってみたら大成功!その後わたしは果物のタルトやパイの底には必ず少しパン粉を振りかけてから焼くようになりました。風味的にも舌触りにも邪魔にならないし、これで湿った感じに焼きあがる失敗は毎回防げています。

14) その上に7)の砂糖まぶしりんごをたっぷり入れます。

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15)そして9)のシナモンそぼろをりんごの上にたっぷり乗せます。

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やっば気分高揚!もうたまらん!!

16) そしてオーブンに入れ、200度で15分焼き、そのあと170度(華氏350度)に下げてもう30分ほど焼きます。

はい焼き上がり!
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ウホホホホホホホホホもうだめ!小麦粉とバターの焼き菓子特有のいい香りに加え、シナモンとりんごの香りが家中に充満・・・・なにこれ、なにホイホイなのこれ?

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強いて言えばデブホイホイ。いや強いてっていうか直球でしょそれとかひとり自分ツッコミしてしまうくらいの幸福感!!

このまま食べてもほんとにおいしいけど、あたたかいアップルパイにバニラアイスを添えて温度差のあるデザートにするのもステキです。定番お菓子のアップルパイですが、南部アメリカ風のものもまた一風違っておもしろいし、実際私はこのスタイルのアップルパイが一番好きです。ためしに作ってみてください、ぜひ。


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アメリカ南部風カントリーアップルパイ」への14件のフィードバック

  1. お久しぶり!わお、この前友達のところでまさにこのパイ作ってもらって食べました。おいしかったよー。ただ上のそぼろの部分がちょっと多かった気もするけど。

  2. パン粉!画期的!たまに、パン屋に売ってるアップルパイなんかを買うと、下にスポンジケーキみたいなのが入ってることがあって、「めっちょり」を避ける工夫なんだろうな、とわかっていつつも「ちゃうやろ!」と怒っていましたが、パンじゃなくてパン「粉」。これはいいですね。

    あったかいパイにバニラアイス、ホームステイ先のお父さん(当時55歳軍人ちょいデブ)がやってて、大人のオッサンがアイスをがっつり食べるのを見たのって初めてで衝撃的でした。おいしさも衝撃的でしたけど。

    長話ついでに、南部出身の知り合いはアップルパイにスライスチーズを乗っけてましたが、いまだにJokeだったのか本気だったのか謎です・・・。

  3. オレオレさーーーん!!
    私もアップルパイの底のスポンジは許容しません。それでパン粉とかどうかなー、と一度試してみたんですけどけっこう満足しています。たぶんオーブンの上下段の温度の癖とか、温度管理とかちゃんとできてれば不要なんでしょうけど。

    アップルパイにチーズは初聞きです。たまに変な食べ方する人いますよね。

  4. お久しぶりです。超大作(笑)、とっても充実してて、美味しそうな妄想がめちゃめちゃふくらみました♪
    パン粉!なるほど~!!果物を焼き菓子に使うと、ベチョってなるのが嫌で…でも、パン粉を使えば大丈夫なんですね。
    いつも美味しいレシピと分かりやすい説明&ちょっと役立つワンポイント、ありがとうございます☆

  5. ピンバック: ほうれんそうのキッシュ | お料理ダイスキ!ニューヨークおうちごはん

  6. ピンバック: さくさくパイ生地 | お料理ダイスキ!ニューヨークおうちごはん

  7. ピンバック: ターキーを焼こう!メニューご提案編 | お料理ダイスキ!ニューヨークおうちごはん

  8. イギリス在住日本人

    つい先日こちらのブログにたどり着いて、お料理もさることながら、文章も楽しく過去記事までひたすら読みまくっている者です。恐縮ですが、あえてひとつだけコメントさせて下さい。イギリスのアップルパイはおっしゃるとおり、りんごの上にまで生地という、作ってもらってもあまりありがたくない見た目をしています。イギリスではそれが『アップルパイ』で、こちらで紹介されている、りんごの上にそぼろは『アップルパイ』ではなく『アップルクランブル』として、別モノとして定着しています。ちなみに私はもちろん『アップルクランブル』派です。日本人はイギリスのアップルパイ、あまり好きではないでしょうねぇ・・・(泣)。見た目もイマイチですしねぇ・・・。いきなりのコメント、すみませんでした。でも、お料理いっぱい参考にさせて頂きます!!

    • コメントありがとうございます。
      イギリスではこのお菓子がアップルクランブルなんですね!
      アメリカでもアップルクランブルというのはありますが、たいていは底がパイ生地でなくバターケーキかスポンジケーキ、もしくはイースト生地です。
      アメリカにも上面にもパイ生地なパイもたくさんあり、このレシピは南部風で少し特殊といえば特殊です。
      アメリカとイギリスは同じ呼び名で違うものを指すことがあって紛らわしいですね。勉強になりました~。

  9. りんごの美味しい季節になったので、アメリカ風のアップルパイが食べたくていろいろ探していたところ、ここに辿り着きました。

    差し上げた方から「りんごの酸味といい食感といいパイ上のトッピングといい、パーフェクトだった。ぜひレシピを教えて」と最高の誉め言葉をいただき、久しぶりにお菓子作りに挑戦した私もとても嬉しかったです。

    このレシピに出会えたことに心から感謝いたします。ありがとうございます。

  10. レシピお試し&とてもうれしいご報告ありがとうございます。
    おいしくできたようでうれしいです。

  11. ピンバック: 《絶品》フルーツたっぷりのアメリカンなパイが味わえるお店&レシピ - あんなことこんなこと

  12. ピンバック: 《絶品》フルーツたっぷりのアメリカンなパイが味わえるお店&レシピ | アネモネ

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