シュクルート・ガルニ

この前フランス人と知り合って「そういえばつい最近フランス行ったんですよー、アルザス」って言ったら「アルザスとかドイツだから」と言われちゃいました。それほど文化的にはドイツに近いアルザスの代表的な郷土料理シュクルート・ガルニ、やはり非常にドイツっぽいのですが実は似て非なる奥深さ・・・いや料理自体は簡単です。

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これでもかというほどの肉々しさ。とてもおいしく大好きなお料理なので弁舌を振るってしまいますよ、いいですか?

シュクルート・ガルニってなーに?
シュクルート・ガルニ(Choucroute garnie)は、ザワークラウト(仏語でシュクルート)をソーセージや塩漬けの豚肉数種と一緒に白ワインで煮込んだアルザスのお料理です。
厳密なレシピはなく、家庭やレストランによって使用する材料や手順は少しずつ違っているそうですが、基本的にとてもシンプルです。じゃがいもを使うことも多く、「ソーセージ、豚肉、ザワークラウトにじゃがいも・・・これってドイツ料理では?」とつい思ってしまうのですが、なぜかこの料理はドイツ国内でもアルザス料理という認知を受けていて、家庭料理としてそれほど定着していないそうです。

こちらはストラスブールのレストランでいただいたシュクルート・ガルニ。こう見えて器が深くて大容量でした。
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カスラー vs. シュクルート・ガルニ
それでは先日レシピを掲載したカスラーを思い出してください。
ドイツの豚料理代表・カスラー 

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塩&燻製で準備した豚肉をザワークラウトで食べるという、とてもよく似た料理ですが、両者を比較してみると大きな違いはシュクルート・ガルニはザワークラウトと複数の肉を一緒に煮て料理するが、カスラーではでかいひとかたまりをローストし、ザワークラウトを別鍋で用意することだと思います。

どちらがうまいかという論争になると肉食人にとってまったく甲乙つけがたい好勝負ですが、ドイツ人ドテラはやはりカスラーのほうが好きだそうです。ローストした鍋の残りをソースに使うところが決定打だそうですが、これはドイツ人一般の意見なのかドテラの個人的嗜好なのかハッキリしません。

私の感想ですが、強いて言うなら、数種の肉を一皿で食べられるバラエティのよさ&ベーコンや塩豚のうまみを吸ったザワークラウトやじゃがいものうまさに日本のおでん的な親しみを感じてしまう点からシュクルート・ガルニの判定勝ちでしょうか。

材料
シュクルート・ガルニを作るには手間や技術はほとんど要しません。材料さえそろえたら間違いなくおいしく作れます。各材料の量も好みで適当にそろえてください。

ザワークラウト
玉ねぎ
バター、ラード
ベーコンのかたまり
豚ヒザの塩漬けまたは燻製
ソーセージ
ハムなど
軽口の白ワイン

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ご覧ください、調理前の時点ですでにこの迫力。ドテラと二人で食べるからこれだけだけど、友達呼んで食べるならソーセージをもう2種類くらい追加したい。

必須なのは豚のヒザ(hock, nickelなどと言われる部分)の塩漬けまたは燻製、ベーコンのかたまり、ソーセージ、そしてハムのかたまりです。これらを人数に合わせて数種類用意します。これらをそろえるのは日本ではおそらく困難&高価だと思います。スミマセン。
ヨーロッパ各地、少なくともドイツ以東の地域ならどこでも適したものが手に入ると思います。アメリカならドイツ系肉屋はもちろんですが、ポーランドや旧ソ連の各国系の肉屋ならいいハムやベーコン、ソーセージがいろいろ売っています。香料をあまり使っていなく、燻製が軽く、あまり乾燥させてないものを選べばド失敗にはならないと思います。

ご近所情報ですみませんが、アストリアならBroadwayにある Muncan Food Corp. というお店がおすすめです。上の写真豚のヒザの燻製(四つ割)、ベーコンのかたまり二種、ソーセージ、ハムを買って30ドルちょっとでした。豚ヒザがけっこう高く、これだけで16ドルしたのですが二人で食べるには多く、よっつに切ったもののうち3つは冷凍しました。また、豚ヒザの燻製でなく塩漬けはないかたずねたところ、「今はないけど注文するなら作ってあげるよ」とのことでした。このお店ならちゃんと説明したらカスラー用の肉も作ってくれそう。夏はバーベキュー用のソーセージもここで買ったけど、どれもおいしかったです。

さあ作るよ!

1)まずザワークラウトを用意します。今回私とドテラとの二人のディナーなのでザワークラウトを700gほど、玉ねぎを1個使いました。
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先日ハンターズポイントのLICフリーマーケットでみつけたフレッシュザワークラウトを使ってみましたが、確かに缶詰よりずっとおいしかった。Horman’s Best Picklesというローカルショップのものです。ザルに上げ、水で洗ってよく絞ります。玉ねぎは薄切りに。

2)厚手できっちりとフタのできる大きな鍋がベストです。中火にかけ、バターもしくはラードを大さじ1ほど溶かします。

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薄切りにした玉ねぎを炒め、シンナリしてきたら水気を絞ったザワークラウトを入れて炒め合わせます。スッパいのが苦手なら玉ねぎを多めに使ったり、りんごを細切りにしたものを加えたりして和らげることができますが、シュクルート・ガルニは脂肪の多く入った肉と一緒に数時間ワインで煮込むのであんま角が立った感じにはならないので大丈夫。

また、好みでにんにく、オールスパイス、ジュニパーベリー、クローブ、ベイリーフなどのスパイスを少量使うのもアリです。ザワークラウトに混ざったのを噛んでしまうとガッカリなので、その場合はお茶パックなどに入れておくといいでしょう。

3)ざっと全体が温まったら、ひたひたになるくらいの量の白ワインを注ぎます。白ワインの風味がいい感じに仕上がるのでおすすめですが、まあ水でも問題ありません。

4)さあそろそろ用意はいいですか?武者ぶるっているのは私だけでしょうか。
ベーコン、豚ヒザ、ハムなどをザックリと大ぶりに切り、ザワークラウトの鍋に入れます。
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見てこのベーコン。このまま炙ってマスタードつけて食べるだけでもご馳走だ。

ソーセージ以外のすべての肉類を鍋に入れてフタをします。強めの弱火程度の火加減でこれから3時間ほど煮るのですが、途中で水分が減って底が焦げ付いてしまわないよう、何度か様子を見て底からかき混ぜ、必要なら適宜水またはワインを加えます。
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圧力鍋あったらもっと早くにできるんだろうなー。また、鍋ごとオーブンに入れるのもメジャーな方法ですが、日本で大きな鍋がすっぽり入るオーブン持ってる家庭ってあんまりないですよね。ガスも高いし。直火で煮てもおいしくできます。

5)じゃがいもを一緒に煮る場合、2-3時間ほど煮た時点で鍋に入れます。

煮崩れしにくい種類を選び(日本ならメークイン系、アメリカならホワイトポテトや赤肌ポテトなど)、皮をむき、面倒でなければ面取りして鍋に入れます。このときはザワークラウトに埋めたりせず、上に乗っけてフタをしておくだけでうまいこと汁の味を吸いつつ蒸し煮になります。じゃがいもの大きさにもよりますが、大降りに切って1時間ほどかけて火を通すとおいしいです。

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やわらかベーコンちゃん「ていうかもうここ満員!イモとか入ってこれる場所ないから!」
ふかふか豚ヒザたん「あたしたちみたいにダシを出せるようになってから出直しておいで」
面取られじゃがいも 「擬人化されただけでも業腹なのにいじめられっ子かよ!」

6) 食べる30分ほど前にソーセージを加えます。ソーセージはあまり長く煮すぎると皮がはじけて割れてしまうからです。最後に味見をして、必要なら塩こしょうします。肉類に塩気があるので控えめに。

7) それでは食べる用意をしますよ!鍋ごとテーブルに出すのも豪快でいいのですが、皿に美しく盛るならまず鍋から肉類を取り出したほうがいいでしょう。
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皿中央にザワークラウトを盛り、じゃがいもを添えます。
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そして肉類を立体的に盛りましょう。
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さあどうです!

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せっかくだからアルザスのリースリング飲んじゃおう。いただきまーす!

いやんもう・・・・とろとろふかふかの豚肉といったら角煮だとか思ってる人!蒙を啓け!!
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皮付きのベーコンを乳酸発酵の女王ザワークラウトと白ワインでにゆっくり煮込んだコイツを食べてごらん!あっさりなのにガッツリ、肉々しいのにさっぱり、スッパいようでいてうまみたっぷり・・・・なにこの矛盾の渋滞。いや自分の表現力の限界に挑戦して余計になんだかわからなくなってしまいましたがすごくおいしいと言うことです。

ソーセージを入れる前の段階で冷蔵庫に入れておけば2,3日は大丈夫です。多めに作って二日続けて食べるのももちろんアリですし、その場合よく味のしみたじゃがいもがおいしすぎたので追加とかもできるので二度おいしいですね!
材料が手に入りさえすれば間違いなくおいしくできるはずです。冷凍庫に豚ヒザがあるのであと3回作れると思うと、それだけで日々の心の余裕になってしまうほど大好きすぎてやばいや~。

そして次回はプリンのようなパイのようなやさしくおいしい簡単お菓子、アルザスのフルーツパイのレシピをアップする予定です。またいらしてください。

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