アメリカで最大のイベントのひとつ、サンクスギビング(感謝祭)も、はや今週の木曜日と迫ってまいりました。サンクスギビングといえば・・・・みんな、わかってるね?
ターキーだよ!七面鳥だよ!丸焼き丸焼き!
昨年、5回に渡ってネッチリとターキーについての記事を公開しました。
ターキーを焼こう!解凍・ブライン編
ターキーを焼こう!ロースト編
ターキーを焼こう!スタッフィング編
ターキーを焼こう!メニューご提案編
ターキー完結
ひとつのレシピを挙げるのではなく、「いろんなやり方があって、それぞれこんな特徴があって、そのやり方はこうです」と、みなさんが各人の好みでいかようにも思ったように作れるようにと心がけて書きましたが、今自分で読み直しても無駄口が多くてうんざりしたので、5つの記事の内容の要点だけここでまとめることにしました。ご参考まで~。
明日は、ターキーでなくチキンをローストする予定の方のためにとっておきのローストチキンレシピをアップする予定です。末尾にティーザー載せました!
ターキーの解凍・ブラインについて
詳しい記事 ⇒ ターキーを焼こう!解凍・ブライン編
+++++解凍+++++++
ターキーは小型のものでも10パウンド(4.5キロ)程度、大きいものなら24,5パウンドくらいの大きさです。そしてファームや肉屋に特に注文すると冷凍されていないものも購入できますが、売っているものの大半は冷凍です。そのため解凍する手順が必要です。
時間がかかりますが、室温でなく冷蔵庫でゆっくり解凍することが強く推奨されています。
最大の理由は、常温では中心部が解凍される前に表面部分が室温程度の温度=細菌などの増殖に最適温度になってしまうことです。食中毒の危険性とともに品質の劣化も著しく、ドリップ(肉汁)が大量に出てうまみ↓、パサつき↑ということにもなるそうな。
冷蔵庫で解凍するには、ターキーの重量が5パウンドにつき24時間かかるといいますので、10パウンドなら2日、15パウンドなら3日の計算です。しかし実際には冷蔵庫の温度や、どのくらいガッチリと冷凍されていたかなどで前後するので、目安より1日ほど余裕を持っていたほういいです。
+++++ブライン++++++
お料理の範疇ではブライン(brine)と言うと塩水に肉や魚を漬けることです。脂肪の少ない肉の組織が水分を蓄え、しっとりと仕上がるという特徴があります。通常、ただの塩水ではなくハーブやスパイス、スープなどで調味した塩水を使います。
理屈は昨年の記事ターキーを焼こう!解凍・ブライン編 に詳しく書いています。
グレイビーなどのソースをつけながら食べるのを前提として薄味に焼き上げるなら、おすすめのブライン液の配合は1ガロン(4リットル弱)の水に1カップ弱の塩で、24時間程度です。
またブラインは肉質変化に加えて塩味や風味をつけることも大きな目的であるので、ただの塩水でなくアップルサイダー(りんごで作ったアルコールを含まないワインみたいなもの)やスープストックを使ったり、ハーブやスパイス、果物、香味野菜などを加えて香りや味をつけられるのも楽しいですね。
砂糖はブライン液に入れても肉質変化に対する作用はほとんどないのですが、ほんのり甘いメープルハムのような味付けが好きなら使うのもアリです。
ロースト方法について
詳しい記事 ⇒ ターキーを焼こう!ロースト編
オーブンの温度は325-350度(摂氏160-175度)に設定し、12パウンドくらいのもので4時間、16パウンドで5時間くらいが目安です。しかに中に詰め物をした場合、さらに30分から1時間ほど長く焼く必要があるそうです。
ご参考:Turkey Roasting Times Chart
いくつか方法があります。
1)焼きっぱなし
はじめにターキー全体に溶かしバターなどの油脂と塩、スパイス、ハーブなどを塗り、あとは基本的に焼きっぱなしにする方法です。
失敗しにくくおいしく出来上がる手堅い手法です。途中までアルミホイルをかぶせておくとか、最後にまたバターをひと塗りするとか小技もいろいろで、簡単なようで各家庭のレシピの個性も現れます。
うまく焼きあがるとパリッと皮が突っ張った、オールドファッションで安定感を感じさせる出来上がりになり、ルックス的にも魅力的です。
2)市販のオーブンバッグ使用
オーブンバッグ(oven bag)という便利な製品が売っています。
熱に強い特殊な素材のナイロン袋といった感じのもので、肉や魚をこれの中に入れてオーブンで調理すると、素材の水分が袋から逃げないのでしっとり出来上がると言うものです。アメリカなら、サンクスギビングのシーズンにはスーパーなどでも売っています。
3)バスティング
タレや油を素材に塗ったりかけたりすることをバスティング(basting)といいまして、ターキーの場合はオーブンで焼いている間に頻繁に肉から出てきた肉汁を肉にかけまわすことです。
しかしただ焼いてるだけのターキーに焼き汁や溶かしバターを掛けたり塗ったりしても、すぐに流れ落ちて蒸発してしまうためシットリ効果はほぼゼロ、しかも頻繁にオーブンをあけることで中の温度が下がってしまい、むしろネガティブ効果のほうが大きいとかいう説が一般的です。
そこでチーズクロス(薄手のガーゼのような生地)でターキーを覆い、その布に肉汁をかけて常に表面に水分を保ちながら焼く方法だとシットリ効果&味付け効果の両方を期待できるそうです。最終段階でクロスをはずし、表面にタレを塗ってテリツヤに焼きあげるとか言うことも可能です。
いずれの方法で焼いたにしても、オーブンから出した後30-45分ほど室温におき、肉汁を落ち着かせます。この間に焼き皿に出ている肉汁を小鍋に移し、塩、こしょう、白ワイン、少量の砂糖などで味を整えてコーンスターチや片栗粉で軽くとろみをつけてグレイビーを作ります。
スタッフィングについて
詳しい記事 ⇒ ターキーを焼こう!スタッフィング編
スタッフィングというのは詰め物、もしくは食材の中身を取った後の空洞に別の食材を入れて料理することです。
実はターキーのお腹に詰め物をするかしないかという、超そもそもな点についての議論がありまして、一般的には詰め物はしないほうがいいという説が主流です。
まず第一の理由として、鶏の内部に詰めたスタッフィングは生肉部分に触れているので完全に火を通さないと食中毒の危険性があるのですが、スタッフィング内部が安全な温度になるまで加熱すると肉自体は焼きすぎになってしまうという点が挙げられています。
さらに、ブラインしたりバスティングしたりと懸命に保湿してもスタッフィングが内部から肉汁を吸ってしまい、肉質がぱさついてしまうことにもなるそうです。いやん。
どうしてもスタッフしてみたい場合には、熱が通りやすいようにぎゅうぎゅうに詰めずにゆるめに入れること、細菌を増殖させないよう焼く直前に詰めることなどに注意してください。
また、丸ごとのターキーを買ったときの扱い(中に入っている首骨、可食の内蔵など)について、そしてそれらを使って作るグレイビーやスタッフィングについても書いているので、はじめてターキーを買ってみた方は過去記事ターキーを焼こう!スタッフィング編をご覧ください。
サンクスギビングディナー・メニューのおすすめ
詳しい記事 ⇒ ターキーを焼こう!メニューご提案編
食事の前にワインなんかを飲みながらつまむアパタイザー、ターキーに付け合せる野菜、主食、そしてデザートと、ズイーーーーっと過去レシピを挙げています。
ワインの進むチーズクッキー、マッシュポテト、ヨークシャープディング、ローストベジなどで腹いっぱいになってもこれでもかと砂糖の猛撃を具現するアップルパイ、パンプキンチーズケーキ、洋ナシのワイン煮、ティラミスその他、もういいよというくらいの豊富さです。こちらもぜひご覧ください。
ターキーを焼こう!メニューご提案編
祭りのあと
そしてターキーを食べ終わった後、残りでもう一品つくったりしますよ、というレポもあります。
詳しい記事 ⇒ ターキー完結・残ったターキーでもう一品
ターキーじゃなくてチキンをロースト
ところでサンクスギビングにはあまり大きなターキーでなく、手ごろな大きさのチキンのローストを作ろうという方もたくさんいらっしゃいますよね。特に日本の普通のオーブンレンジだとターキーとか焼ける大きさじゃないし。
そんな方のために!私のとっておきのローストチキンのレシピを明日!明日必ずアップします!!すごくアメリカっぽいですよ。ビジュアル的のも「なんやこれ」といわれるレベルのアメリカっぽさです。そして食べるといかにも「これアメリカ人好きだわ・・・」と第一声で言っちゃうはず。
ひどい!ほとんど陵辱!チキンをベーコンでぐるぐる巻きにしてメープルシロップでカリッと焼き上げるとかなんという所業。鬼がナイフとフォーク持って走ってくるレベル。
ロースト用の丸ごとのチキンをひとつと、ベーコンたくさん、そしてできるだけ質のいいメープルシロップを用意してお待ちください。
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料理 ブログランキングへ
こんにちは!
今年日本からイリノイに引っ越してきて、初めてターキーを作ろうと思い検索してたらすごくツボなブログに出会えました!お料理はもちろんすごくお上手ですし、文章の言葉じりが大好きです!笑
これからターキーはじめ色々料理を覚えたいと思ってますのでたくさん参考にさせていただきます!
とりあえずは、ターキーの首ぼねと内臓とかマジ怖いです((((;゚Д゚)))))))
はじめまして&うれしいコメントありがとうございます!
ターキーの首骨とか内蔵は、どうしてもイヤだったら無視しちゃってもいいかと。捨てちゃってる人も多いですよ。
感動です!宝の山はっけーん!!!\(^o^)/
数年ぶりにターキーをやっつけようと思い立ったロサンゼルス在住民です。いろいろ検索してここにたどり着きました。ターキー関連記事、舐めるように読みました。スタッフィングなしで、brineで行こうと思います!。。。
YUさんのお料理に対する情熱すごい。その情熱で燻られたお料理のかずかず、どんだけおいしいことでしょう。レシピの数もはんぱなくあってうれしいかぎり。これからちょっとずつ挑戦していこうと思います。ありがとうございます!あっ、あとジョジョ関連もうれしいです。(笑)
コメント&うれしいお言葉ありがとうございます。
あとジョジョについてツッコンでもらえたのも初めてなんでうれしいです。
昨年のクリスマスはクックパッドを参照し、近所のコストコで買ったターキーに、スタッフィングとしてご飯を突っ込んでオーブンで焼いてみたものの、肉はパサパサ、スタッフィングにはビミョーな獣臭がつき、あれれ?という仕上がりでした。
今年はゆうさんのレシピでクリスマスはリベンジじゃーと意気込んでましたが、娘から「ニューヨークのヒトのローストビーフとヨークシャープディングにして!」とせがまれ、「ニューヨークのヒトのターキーにするから文句言うな」と一蹴しております。
日本のコストコでも生のクランベリーを売ってるので、クランベリーソースにも挑戦してみようかなと。
ところで、鶏モモのクランベリーソースより、甘さ強めの方がターキーには合いますかね?
ではでは、感謝祭の様子がアップされるのを楽しみにしてます!
お嬢さんも一緒にみてくれているとは、うれしい限りです。
私はターキーにはチキンよりもあっさりしたクランベリーソースの方が好きですが、アメリカの人はすごく甘いのが好きなようです。
おいしくできますように~。
初めまして!ターキー特集、とても参考になりました。
もし私の理解が間違っていたら、申し訳ないのですが、バターボールのターキーはpre bastedの状態で、つまり、ブラインをスキップして料理できるように売られているので、さらにブラインするとかなり塩気のきいた出来上がりになるのでは?
あれ?そうなの?・・・と検索してみました。
まずButterballのサイトに行ってみたらほんとだ、Butterball Frozen Turkey の原材料に塩やスパイスが入ってますね!知らなかったです。
取り急ぎ、この辺について記事を書いてみます。
貴重な情報ありがとうございました。ほんと知りませんでした。
はじめまして。今年ミシガンに引っ越してきました。遅くなりましたが、サンクスギビングにこちらのサイトをかなり参考にさせて頂いてターキーを焼いてみました。初めてでも無事中まで火を通して美味しく作れました!ありがとうございます!そして、既に日付変わって今日のクリスマスイブ、またいずれかのレシピを作ろうかと思います…!
はじめまして、コメントありがとうございます。
おお!初挑戦でおいしくできたとのこと、なによりです。
レシピお試しありがとう~。